計画研究
本研究では、弱い外部刺激により結晶構造と光物性が変化するケイ素-ケイ素結合を有するソフトクリスタルの開発を行う。ここでは、様々な有機ジシラン、オリゴシラン類の結晶構造と蛍光(FL)、第二次高調波発生(SHG)、円偏光発光特性(CPL)など光物性を調査すると共に、弱い外部刺激によるこれらの光物性変化を調査した。1. 直鎖型ジシラン化合物我々が開発した有機ケイ素化合物の新規合成法を活用し、多くのジシラン化合物を合成しその光物性の調査を行った。その中で(o-CNC6H4)基と(p-Me2NC6H4)基をジシラン結合で連結した化合物をペンタンから結晶化させるとSHGを示さなくなり、メタノールから結晶化させると尿素の3倍程度のSHGを示した。単結晶X線構造解析の結果もこの物性変化を支持している。現在、圧力など様々な外部刺激により物性の連動変化が起こるかどうか調査中である。2. オクタメチルテトラシラ[2.2]シクロファンシクロファン分子はその形状から面不斉分子として注目されており、骨格上に発光素子を導入することで円偏光発光材料への応用が期待されている。[2.2]パラシクロファンの架橋部位をジシランユニットに置き換えたテトラシラシクロファンを合成し、その構造や光物性について調査した。VT-NMR解析により室温下でこれらの分子は反転運動を起こしているが、この反転は温度やホスト分子によって制御できることも判明した。また、D-A型テトラシラシクロファンは強い固体蛍光を示し、ITO基板上に真空蒸着することで有機EL発光材料として利用できた。
2: おおむね順調に進展している
現在、研究はおおむね順調に進んでおり、外部刺激応答性SHGや発光に関する研究成果も着実に出ている。研究成果は共同研究者と再現実験などを確認した上で、順次論文を投稿している。
研究は計画通り進捗し、この状態で引き続き研究を進める。
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すべて 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 1件、 査読あり 6件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件) 備考 (1件)
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