研究実績の概要 |
本年度は、前年度までに開始した複数の領域内共同研究、および、今年度新たに開始した共同研究について、ソフトクリスタル群への外場印加下でのX線結晶構造解析、及びX線吸収分光測定の適用を推進した。 昨年から継続している、超弾性結晶に関するA01-02班との共同研究では、放射光X線を用いた結晶構造解析と、実験室系のX線源を用いたX線結晶構造解析を相補的に利用して、超弾性結晶の母相と娘相の生成起源を考察した(S. Sakamoto et al., Angew. Chem. Int. Ed. 58, 13722-13726, 2019)。また、分子内一重項分裂を起こし、長寿命の励起子を生成するテトラセン系分子に関して、今後の光照射結晶構造解析実験に向け、まずは基底状態での結晶構造を決定した(Y. Matsui et al., J. Phys. Chem. 123, 18813-18823, 2019)。A01-01班との共同研究であるベイポクロミズムPt錯体に関する系では、多孔性材料メソポーラスシリカ中でのPt配位環境を決定した(H. Matsukawa et al., Sci. Rep. 9, 15151, 2019)。A02-02班、公募班との共同研究では、化学発光を起こす系について、粉末回折パターンの経時変化を観測した(C. Matsuhashi et al., Chem. Comm. 56, 3369-3372, 2020)。さらに、光照射をトリガとした生体高分子内での低分子輸送、および分子内の局所構造変形の観測に成功した(N. Shibayama et al., Proc. Nat. Acad. Sci. 117, 4741-4748, 2020)。また、国際会議、国内会議での成果発表はそれぞれ7件、および14件行った。
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