計画研究
各種糖転移酵素のC末にtagをノックインした細胞株を作製し、各種糖転移酵素(XYLT2, NDST1など)のゴルジ体での局在を理化学研究所中野研究室の黒川先生との共同研究で観察した。異なる糖鎖を付加する酵素の局在が微小な領域(ゾーン)を形成し、異なる酵素のゾーンの局在がゴルジ体内で異なることを観察できた。また研究分担者の西野先生と電顕トモグラフィーで免疫電顕を行ったサンプルを用いて、ゾーンの大きさや分布を計測すべく、共同研究中である(詳細下記)。また、プロテオグリカン型糖鎖を付加されるモデルタンパク質を発現させてERから細胞膜までの輸送を追跡すると、このモデルタンパク質はゴルジ体において、糖鎖付加の初期に働く酵素のゾーンを通った後、後期に働く酵素のゾーンを通過することを観察した。さらに、これらの糖転移酵素の遺伝子のC末にAPEX2 cDNAをノックインした細胞株を作製し、その細胞株でbiotin化されるタンパク質を複数同定することに成功した。分担者の木下はGPIアンカー型タンパク質であるDAFの前駆体に存在するGPI付加シグナル配列がGPIの生合成を上昇させる働きを持っていることを見出した。分担者の西野は電顕トモグラフィー解析支援において原田の免疫電顕試料を解析した。これらの免疫電顕試料から切片を作成し、ゴルジ体領域の連続傾斜像を取得後、トモグラムを構築した。その結果、銀粒子クラスターがゴルジスタック内に明瞭に捉えられた。弘前大学の森田先生より提供された日本脳炎ウイルス感染Vero細胞の電子顕微鏡観察と電顕トモグラフィー解析支援を行い、野生型細胞、LNP KO細胞、TMEM43発現細胞を用い、ウイルス複製オルガネラ内の膜と、ウイルス複製オルガネラーミトコンドリアコンタクトサイトにどのような形態学変化が生じているか電顕トモグラフィーを用いて3次元的解析を行うこととした。
2: おおむね順調に進展している
各種糖転移酵素のC末にtag(c-mycなど)をノックインした細胞株を作製することが出来た。また、各種糖転移酵素のゴルジ体での局在を世界最高水準の光学顕微鏡で観察出来、異なる糖鎖を付加する酵素の局在がゾーンを形成し、それがゴルジ体内で異なることを証明できた。分担者の西野先生との電顕トモグラフィーの共同研究も順調に進んでおり、データを蓄積中である。糖転移酵素の基質タンパク質の輸送もゴルジ体において、糖鎖付加の初期に働く酵素のゾーンを通った後、後期に働く酵素のゾーンを通過することを観察することが出来た。さらにこれらの糖転移酵素の遺伝子のC末にAPEX2 cDNAをノックインした細胞株を作製し、その細胞株でbiotin化されるタンパク質を同定することに成功した。これらの研究、特に遺伝子へのノックインによるゾーンの局在やAPEXによるビオチン化タンパク質の同定は前例がないことからかなりのリスクを伴うにも関わらず、順調に進んだことは特筆に値する。分担者の木下はGPIアンカー型タンパク質であるDAFの前駆体に存在するGPI付加シグナル配列がGPIの生合成を上昇させる働きを持っていることを見出した。分担者の西野は電顕トモグラフィー解析支援において原田の免疫電顕試料を解析した。これらの免疫電顕試料から切片を作成し、ゴルジ体領域の連続傾斜像を取得後、トモグラムを構築した。その結果、銀粒子クラスターがゴルジスタック内に明瞭に捉えられた。免疫電顕のトモグラフィーでは過去に例が少なく、条件検討など困難な状況にも関わらず、3次元構築が成功したことは立派な成果と思われる。
各種糖転移酵素のC末にtagを2種類以上ノックインした細胞株を作製し、各種糖転移酵素のゴルジ体での局在の違いを理研中野研究室の黒川先生との共同研究で観察する。また、プロテオグリカン以外の糖鎖(O型、N型糖鎖)を付加されるモデルタンパク質を発現させてERから細胞膜までの輸送を追跡し、ゴルジ体においてこれらがどのゾーンを通過するかを観察する。様々な糖転移酵素の遺伝子のC末にAPEX2 cDNAをノックインした細胞株を作製し、その細胞株でbiotin化されるタンパク質を同定すると共にそれらの遺伝子をノックダウン、ノックアウトし、糖転移酵素の局在や糖鎖修飾に変化が生じるか観察する。分担者の西野先生と電顕トモグラフィーでゾーンの大きさや分布を計測する。分担者の西野は弘前大学の森田先生より提供された日本脳炎ウイルス感染Vero細胞の野生型(WT)細胞、LNP KO細胞、TMEM43発現細胞を用い、ウイルス複製オルガネラ内のコンボリューティッド膜と、ウイルス複製オルガネラーミトコンドリアコンタクトサイトにどのような形態学変化が生じているか検討し、生じている可能性が示唆される領域について、電顕トモグラフィーを用いて引き続き3次元的解析を行う。
すべて 2020 2019 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 5件、 査読あり 6件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 8件、 招待講演 8件) 備考 (2件)
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