| 研究概要 |
架橋フォトクロミック液晶高分子は, 光エネルギーを直接力学的仕事に変換することができる光アクチュエーターとして機能し, 新しいフォトクロミック分子の応用展開として期待されている。本研究では, フォトクロミック分子の極限性能を追求し, 光により運動を誘起できる高分子材料を開発することを目的としている。これまでに, フォトクロミック化合物の分子設計および合成を行い, 架橋フォトクロミック液晶高分子の光-力変換機能に着目し, 光照射時における収縮量や発生応力について, 架橋剤濃度の観点から検討した。
本年度は, 架橋液晶高分子の光アクチュエーターへの応用を目指し, 架橋液晶高分子フィルムを汎用高分子フィルムに積層した積層型光運動材料の開発を試みた。その結果, 架橋液晶高分子を積層した高分子フィルムは, さまざまな形状に加工することができ, 多彩な三次元運動を示す光運動材料として機能することが明らかとなった。特に, 積層フィルムをベルト状に加工し, 光照射するだけで一方向に回転する光プラスチックモーターの開発に世界で初めて成功した。この光プラスチックモーターは, 光エネルギーを直接回転運動に変換することができ, 遠隔操作が可能な光アクチュエーターとして非常に有用である。
さらに, 高性能な光運動材料を開発するため, フォトクロミック化合物の観点から新たな分子を設計・合成し, そのフォトクロミック化合物の液晶性や異性化挙動などを詳細に検討するとともに, 光運動特性について評価を行っている。
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