研究概要 |
フォトクロミズムは通常無色体と着色体の間で起きる。着色体の吸収域が赤外部にあれば、皮膚を透過する光を用いてフォトクロミズムを起こすことができるので、ドラッグデリバリーシステムの薬剤放出のトリガーとして赤外光を用いることができるようになる。また、紫外部の二つの光でフォトクロミズムを起こせれば、可視光にさらしてもフォトクロミズムの起きない材料を作ることができる。 赤外部・近赤外部に吸収をもつフォトクロミック化合物となることを期待して、4,5-ビス(5-メチルー2-フェニル-4-チアゾリル)トリアゾールの置換基効果を調べた。その結果チアゾール環5位のフェニル基の4位にシアノ基がつくと、アセトニトリル中無置換では695nmであった吸収極大が737nmにシフトし、近赤外領域に吸収をもつことが分かった。 ビスアリールインデノンのエチレンアセタールは、環化反応の量子収率が0.81と史上最大であることを明らかにした。その原因が、C-HとNの間の親和的相互作用による配座の固定化であることを明らかにした。紫外部にのみ吸収があるフルギド誘導体を合成することができ、液晶の選択反射の制御を行った。しかしあまり強いねじり力は与えなかった。 側鎖にフッ化アルカノイル基を持つビスベンゾチエニルエテンを合成しし、そのジアステレオ選択的フォトクロミズムを調べ、ジアステレオ選択性が非常に高いことを明らかにした。
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