計画研究
ジアリールエテンの結晶および薄膜表面に紫外光を照射することにより、表面が無数のフィブリルに覆われる現象を研究してきた。置換基がトリメチルシリル基をもつジアリールエテン誘導体の紫外光照射後のフィブリル成長過程を、ボックスカウンティング法を用いてフラクタル解析を行った。ボックスサイズと存在比の間に相関があり、光で生成するフィブリルに覆われた面もフラクタルと呼ばれる海岸線の形などのような「自己相似性」をもつ面であることがわかった。さらにフィブリルの成長とともに、そのフラクタル次数が増加し、それとともにその面での水滴の接触角も増加していることが関係づけられた。すなわち、紫外線照射後の面のフラクタル面は40ミクロン以下のボックスで2.08次元、40ミクロン以上で2.27次元であり接触角は100°程度であった。3時間後、ボックスサイズが6.2ミクロン以下の次元は2.36次元となったが、接触角はほとんど変化しなかった。15時間後、40ミクロン以上は次数は変化しないが、5.1-30ミクロンのサイズの次数は2.26次元に5.1ミクロン以下では2.47次元へと増加し、接触角は150度へと急激に増加した。さらに2日後、45ミクロン以下が2.47次元となったときに水滴の接触角は163°になっていることから、5.1-30ミクロンのサイズの突起が水の接触角に影響を与えていると推察された。さらに、超親水性をもたらすと期待される水酸基を一分子に6つもつジアリールエテンを合成したが、水滴を落とすと溶解してしまった。あらたな分子設計指針に基づく分子の設計を行い、現在合成を行っている。
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