研究概要 |
分子内回転運動の可逆的光制御を可能とする化合物としてアゾベンゼンと1,5-ジオキシナフタレンを環状に結合した化合物1を合成し、トランス体とシス体でのナフタレン環の回転速度をNMR測定によって見積もった。その結果、366mm光と436mm光を用いた可逆的な光異性化反応により、回転速度を可逆的に制御できることが明らかとなった。 また、光で1次構造や集合状態を変化させることで運動機能を達成することを目指して光応答性オリゴマーの研究を行った。アゾベンゼンを含有する開始剤を用い、ATRP法によってN-イソプロピルアクリルアミドの重合を行い、末端に光応答性部位を有する分子量のそろったオリゴマーを得た。本オリゴマーは、水溶液中で光により凝集サイズを急峻に約100mmから1μmへ変化させ、白濁、透明状態を可逆的に変換することが可能であった。 さらに、生体分子モーターの光反応による駆動を目指してATPアゾベンゼンATP部位を分子内に導入したアゾベンゼンを合成し、その水溶液中での光異性化反応を確認した。また、生体分子モーターであるキネシンとの相互作用や光異性化反応による相互作用変化を明らかにするための、光反応とモーティリティー実験(キネシンを施した基盤上で蛍光標識したキネシンの運動を顕微鏡観察する)を同時に行うための実験系を構築した。
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