計画研究
精製Atg9をリポソームに再構成して蛍光脂質を用いた解析と急速凍結・凍結割断レプリカ標識法を用いた解析を行うことで、Atg9が脂質スクランブル活性を有することを明らかにした。さらに昨年度決定したAtg9の立体構造に基づいた変異体解析を行うことで、脂質スクランブル活性にはAtg9が持つ2つの細孔が重要であること、脂質スクランブル活性はオートファゴソーム形成に必須であることを明らかにした(Matoba et al., Nat. Struct. Mol. Biol. 2020)。昨年度決定したAtg8とERphagyに働く受容体Atg40との複合体構造に基づき相互作用解析を行い、両者の強い結合に重要な残基を同定した。さらに人為的に多量化させたAtg8とAtg40をin vitroで混合すると液-液相分離して液滴を形成することを見出し、ERphagyにおいてAtg8とAtg40が形成する高次会合体の形成モデルを提唱した(Mochida et al., Nat. Commun. 2020)。NMR法を用いて脂質に結合したAtg8が脂質膜上で取るコンフォメーションを解析し、溶液中の状態と比べて構造の劇的な変化はないこと、Atg8の脂質膜上の配向はある程度固定されており、ユビキチンフォールド内に含まれる2つのフェニルアラニンが膜に接する配向を取ることを明らかにした。新規マイトファジー因子について精製タンパク質を用いた機能解析を行うことで、この新規因子は膜チューブに結合すること、そして膜チューブを切断する活性を有することを明らかにした。さらに高速AFMおよびクライオ電子顕微鏡による観察を行うことで、この新規因子は高次会合体を形成して膜チューブに結合することを明らかにした。細胞内でのオートファジー関連膜およびAtg因子の観察のために、Cryo-FIB-SEMを用いた急速凍結生物試料ラメラ作製法を確立した。
2: おおむね順調に進展している
立体構造情報に基づいた機能解析を進めることで、Atg9に脂質スクランブル活性があること、それがオートファゴソーム形成に重要であることを明らかにした。さらに領域内共同研究によりERphagyやマイトファジーに重要な因子の解析が進むなど、順調に進展している。
Atg9とともに隔離膜伸長に機能するAtg2の全長の構造解析を進め、隔離膜伸長のメカニズム解明を進める。オートファジー始動複合体の足場タンパク質Atg11やFIP200の構造基盤の解明を進める。様々な選択的オートファジー受容体の構造研究を進める。膜透過型オートファジーを担う因子の構造解析を進める。細胞内における隔離膜の構造解析を進める。
すべて 2021 2020 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (11件) (うち国際共著 3件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件、 招待講演 5件)
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