研究実績の概要 |
非選択的オートファジーにおいて、オートファゴソームの成形機構はよくわかっていなかった。全て全長のE1, E2, E3酵素を使ってAtg8を偏長巨大リポソーム(GUV)に結合させる実験を行うことで、オートファゴソームの成形過程を再構成することに成功した。そしてNMRおよび高速AFMによる解析により、脂質化Atg8とE1, E2, E3酵素および脂質膜は弱い多価相互作用を互いに形成すること、その結果脂質膜上で動的な網目状構造を形成することが明らかとなった。 マイトファジーではオートファゴソーム内に収まるサイズにミトコンドリアが分断化されるが、そのメカニズムは不明であった。出芽酵母および分裂酵母においてマイトファジーに必須な新規因子Atg44を同定し、Atg44がミトコンドリアの断片化に関わること、Atg44単独でin vitroにおいて脂質膜チューブを切断する活性を持つを明らかにした。さらにAtg44の結晶構造を決定してその両親媒性構造を明らかにするとともに、高速AFMを用いた解析によりAtg44は曲率の高い膜に結合し、膜の不安定化を引き起こすことを明らかにした。 哺乳類細胞における代表的なオートファジー分解基質であるp62ボディにULK1およびVault粒子が濃縮することを見出した。濃縮したULK1はp62をリン酸化し、KEAP1をp62ボディ内に蓄積させること、その結果転写因子NRF2が活性化し、レドックス非依存性ストレス応答を引き起こすことが明らかとなった。一方Vault粒子はNBR1依存的にp62ボディに取り込まれること、その結果Vault粒子は選択的オートファジーにより分解されることを明らかにした。
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