計画研究
物質の原子スケールにおける熱伝導や電子伝導を可視化することができれば、新しい材料やデバイス開発に繋がる。本研究では、目に見える大きさのものとは全く異なる熱輸送特性や電子輸送特性を示す原子スケールの特殊な界面を「機能コア」と位置づけ、超精密な薄膜・デバイス作製技術を駆使して機能コアを導入したモデル材料を作製し、相界面における熱輸送特性や電子輸送特性を調査し、巨大機能の発現とその制御を目指している。太田Gr.では、超格子および各種遷移金属酸化物の熱伝導率を計測した。各種薄膜およびデバイスの機能コアの可視化については、A01(ア)(イ)班、A02(ウ)(エ)班、必要時に随時海外共同研究者に分析・解析を依頼した。寺崎Gr.では、機能性熱伝導物質を設計し、単結晶育成を行った。齊藤Gr.では、太田Gr.で得られた熱伝導率の結果を踏まえて機能コアの界面熱抵抗のモデル化を行った。また、太田Gr.では下記の研究成果に関してプレス発表を行った(2019年11月8日)。電気化学反応において、時間に関する問題を解決するためには化学反応式のような原子のスケールではなく、巨視的なスケールで材料の酸化・還元反応を可視化する必要がある。コバルト酸ストロンチウムの場合、材料科学分野で一般に用いられる透過型電子顕微鏡観察を適用できない。本研究では、熱電特性(電気抵抗率・熱電能)の計測と導電性原子間力顕微鏡(導電性AFM)観察を組み合わせた新しい可視化手法により、コバルト酸ストロンチウム薄膜の電気化学酸化反応を巨視的なスケールで可視化することに成功した。
2: おおむね順調に進展している
2020年3月から本格化した新型コロナウィルス感染症の影響で国内外の学会における成果発表が滞ったが、論文発表は問題なくできている。
太田Gr.では、引き続き超格子および各種遷移金属酸化物薄膜の熱伝導率計測を行うとともに、遷移金属酸化物薄膜を活性層とする熱トランジスタを作製し、電気化学酸化還元前後の熱伝導率を計測する。各種薄膜およびデバイスの機能コアの可視化については、A01(ア)(イ)班、A02(ウ)(エ)班、必要時に随時海外共同研究者に分析・解析を依頼する。寺崎Gr.では、引き続き機能性熱伝導物質の設計と、その単結晶育成を行う。各種単結晶を育成した後、随時外場印加中の熱伝導率の精密測定を行う。得られた結果については解析的・数値的に検討し、物質組成の精密チューニングへとフィードバックする。齊藤Gr.では、引き続き太田Gr.で得られた熱伝導率の結果を踏まえて機能コアの界面熱抵抗のモデル化を随時行うとともに、界面熱抵抗のシミュレーションを行い、結果を太田Gr.にフィードバックする。具体的には、実験の設定に基づき定性的定量的な理論解析を行う。
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すべて 国際共同研究 (4件) 雑誌論文 (21件) (うち国際共著 4件、 査読あり 20件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (94件) (うち国際学会 49件、 招待講演 15件) 図書 (3件) 備考 (2件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)
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