計画研究
物質の原子スケールにおける熱伝導や電子伝導を可視化することができれば、新しい材料やデバイス開発に繋がる。本研究では、目に見える大きさのものとは全く異なる熱輸送特性や電子輸送特性を示す原子スケールの特殊な界面を「機能コア」と位置づけ、超精密な薄膜・デバイス作製技術を駆使して機能コアを導入したモデル材料を作製し、相界面における熱輸送特性や電子輸送特性を調査し、巨大機能の発現とその制御を目指している。太田Gr.では、遷移金属酸化物エピタキシャル薄膜の熱伝導率を計測した。各種薄膜およびデバイスの機能コアの可視化については、A01(ア)(イ)班、A02(ウ)(エ)班、必要時に随時海外共同研究者に分析・解析を依頼した。寺崎Gr.では、機能性熱伝導物質を設計し、単結晶育成を行った。齊藤Gr.では、太田Gr.で得られた熱伝導率の結果を踏まえて機能コアの界面熱抵抗のモデル化を行った。また、太田Gr.では下記の研究成果に関してプレス発表を行った(2020年11月2日)。層状コバルト酸化物Na3/4CoO2薄膜のナトリウムイオンを様々な金属イオン(Ca1/3, Sr1/3, Ba1/3)に置き換えた結果、金属イオン層が重くなるにつれて、電気的な特性は変化せず、熱伝導率だけが減少することを突き止め、最終的に重いバリウムイオンに置き換えたとき、室温で熱電変換性能指数ZTが0.11に達することを発見した。一般に、性能指数ZTは高温になるほど上昇することから、真に安定で実用的な熱電変換材料の実現が期待される。
2: おおむね順調に進展している
2020年3月から本格化した新型コロナウィルス感染症の影響で国内外の学会における成果発表が滞ったが、論文発表は問題なくできている。(2020年度は21報の論文を発表)
太田Gr.では、引き続き各種遷移金属酸化物薄膜の熱伝導率計測を行うとともに、遷移金属酸化物薄膜を活性層とする熱トランジスタを作製し、電気化学酸化還元前後の熱伝導率を計測する。各種薄膜およびデバイスの機能コアの可視化については、A01(ア)(イ)班、A02(ウ)(エ)班、必要時に随時海外共同研究者に分析・解析を依頼する。寺崎Gr.では、引き続き機能性熱伝導物質の設計と、その単結晶育成を行う。各種単結晶を育成した後、随時外場印加中の熱伝導率の精密測定を行う。得られた結果については解析的・数値的に検討し、物質組成の精密チューニングへとフィードバックする。齊藤Gr.では、引き続き太田Gr.で得られた熱伝導率の結果を踏まえて機能コアの界面熱抵抗のモデル化を随時行うとともに、界面熱抵抗のシミュレーションを行い、結果を太田Gr.にフィードバックする。具体的には、実験の設定に基づき定性的定量的な理論解析を行う。
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すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (21件) (うち国際共著 11件、 査読あり 21件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (55件) (うち国際学会 16件、 招待講演 3件) 備考 (3件) 産業財産権 (1件) (うち外国 1件)
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