研究領域 | 脳の若返りによる生涯可塑性誘導ーiPlasticityー臨界期機構の解明と操作 |
研究課題/領域番号 |
20H05918
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
内ヶ島 基政 新潟大学, 脳研究所, 准教授 (10614662)
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研究期間 (年度) |
2020-11-19 – 2025-03-31
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キーワード | スパイン / 分子標識 / イメージング / 臨界期 / 眼優位可塑性 |
研究実績の概要 |
私たちの脳には生後発達の一時期に経験依存的な神経回路再編能が高まる臨界期が備わっている。ニューロン上に形成される小さな突起構造であるスパインは、興奮性シナプス入力を受けることによって神経回路の接続を担うと同時に、神経伝達の強度に応じてその構造および機能を変化させる可塑性を持つ。そのため、スパインは神経回路再編が行われやすい臨界期において可塑性の高い状態を持続すると考えられる。しかし、これを裏付けるスパインの分子形態基盤は不明である。本研究では、臨界期のモデルとしてよく研究されてきたマウス一次視覚野の眼優位可塑性に着目し、独自に開発した生体内ゲノム編集に基づいた単一ニューロン高感度分子局在解析技術を用いて、眼優位可塑性を誘導した際に見られる様々なスパイン分子の分布パターンおよび動態を生体から固定組織に至るまでシームレスに観察する。本年度は、シナプス長期可塑性に関与するとされる10種類の分子に対して、それぞれに高感度タグを付加するためのゲノム編集の設計およびプラスミド構築を行い、子宮内電気穿孔法による生体内ゲノム編集実験を行った。ゲノム編集を行ったマウスの固定脳組織を用いて組織学的解析を進めた結果、標識を行った分子の一部について、標識シグナルがスパインに集積する様子が観察された。それらのシグナルを生体マウスの一次視覚野にてタイムラプス観察を行うため、2光子顕微鏡を用いたイメージング実験の準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は計画通り、シナプス長期可塑性に関与する分子10種類についてゲノム編集の設計およびプラスミド構築を行い、子宮内電気穿孔法によるゲノム編集実験を行った。本年度は研究開始からの期間が短かったため、ゲノム編集の結果が全て揃っていないが、一部の分子の標識にすでに成功していることから、概ね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
次年度も引き続き、ゲノム編集による分子標識実験を継続する。標識がうまくいかない場合は、gRNAを変更する等のトラブルシューティングを適宜行うことで、可能な限り多くの標識分子レパートリーを揃える。これと同時に、生体マウスの一次視覚野を用いたタイムラプスイメージング実験を行う準備を進める。
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