私たちヒトは、他者の「死」を認識し、死者に対して埋葬などの儀礼を行う。動物界全体へと目を向けると、ゴリラ・チンパンジーのような霊長類から昆虫まで多くの動物が、同種他個体の死者に対する種特異的な多様な行動を示す事が、行動学研究によって記載されてきた。多くの場合、「死体」とは自らにとっての危険の象徴であり、逃走・警戒・忌避といった強い負の情動の発現を伴う。従って、「死」の認識はどの動物にとっても自身の生存に直結する、極めて根源的な脳機能であるにも関わらず、これまでその中枢神経基盤はほとんど不明だった。本研究成果により、これまで未知であった「死」の認識の神経メカニズムの一端が明らかになった。
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