研究実績の概要 |
本研究では、非ドメイン型lncRNAのモデルとしてNEAT1, PVT1, 新規な難溶性RNA種を対象として、その機能獲得機構の研究を進めている。一方で非ドメイン型lタンパク質のモデルとしてHSATIIIから翻訳されるタンパク質についても対象にしている。今年度は、NEAT1について、NEAT1が骨格となって核内で形成しているパラスペックルが、核スペックルという他の非膜オルガネラから分離して存在する機構の解析を進め、SFPQ, HNRNPF, BRG1という分離促進因子の機能ドメインの同定と作用機構に関する知見を得た。一方で、パラスペックルの核スペックルへの取り込みを促進する因子としてU2 snRNPを明らかにした。これによって、2つの非膜オルガネラの核内存在様式は、相反する機構のバランスから成り立っていることを明らかにし、現在論文をリバイス中である。PVT1については、長大なイントロンを含むRNA種が細胞核内に多く蓄積していることを明らかにし、そのうちintorn1内でトランケートするアイソフォームが蓄積して核内fociを形成していることを発見した。新規な難溶性RNAについては、次世代シーケンス解析から血清飢餓ストレスで誘導されるlncRNAを同定することに成功し、そのRNAが核内で非膜オルガネラ様のfociを形成していることを見出した。また500種類ものストレスによって誘導されたmRNAの3'末端が延長したDoGs転写物が難溶性を示し、核内でfociを形成していることを見出し、新たな非ドメイン型RNAと考えられる。
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