計画研究
腸管神経系は、神経前駆細胞が腸管壁を移動しながら腸管全長にわたって覆うことにより形成される。我々は、発生過程で腸管が一過性にヘアピン状に折れ曲がる時期に、神経前駆細胞が血管を足場に小腸から大腸へ近道移動することを発見した。この近道移動する前駆細胞は、大腸の神経系の主要な構成細胞であり、近道移動の障害が大腸末端での神経細胞の欠損(ヒルシュスプルング病)の誘因になる可能性を疾患モデルマウスを用いて明らかにした。また、近道移動に必要なシグナルとして神経栄養因子GDNFを同定した。さらに、ケモカイン受容体CXCR4欠損マウスでは近道移動が障害され、これは血管発生障害による非細胞自律性の表現形であることを見出した(以上、Nature Neuroscience誌に報告)。本年度は、血管由来の近道移動関連因子の探索を遺伝子発現プロファイリングにて行ったが、まだ最終的な分子同定には至っていない。しかしながら、研究過程において、腸管神経前駆細胞に関して以下の大きな進展があった。1.GDNF受容体であるRETの細胞内輸送を可視化する遺伝子改変マウスの作成に成功し、移動中の神経前駆細胞においてRETが極性を持った輸送をされていること、また、細胞外基質によりRETの細胞内局在が変化することを突き止めた(論文投稿準備中)。2. 血管に沿って腸管に投射する外来性神経線維とともに腸管壁に侵入するシュワン細胞の一部が、生後に腸管神経細胞に系譜転換することを発見した。血管ー神経の相互作用により神経系が形成される新たな場を見出した(under revision)。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 6件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 4件)
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