研究概要 |
(1)アーバスキュラー菌根(AM)菌のゲノム解読にむけて、Glomus Genome Project Consortiumとの国際共同研究で、Glomus intraradices DAOM197198のゲノム配列の解読をRoche 454 FLX Titaniumを用いて行った。また、菌根共生遺伝子の網羅的発現解析にむけた条件検討を行った。 (2)マメ科のモデル植物ミヤコグサにおいて、改変蛍光タンパク質とライブセルイメージングによるカルシウムイメージング技術を確立した。この技術を用いて、根粒共生時に根毛細胞内で誘導されるカルシウム振動の検出に成功した。 (3)根粒形成の全身制御に関わるKLAVIER(KLV)は、植物のシュートで機能するHAR1と相互作用しうる受容体型キナーゼであることを見いだした。KLVは根粒形成のみならず茎頂メリステム(SAM)の維持にも関わっていたが、同様の機能は、ミヤコグサのCLV2様遺伝子にも保持されていることを見いだした。根粒形成の全身制御に関わるHAR1,KLV,CLV2受容体は、それぞれシロイヌナズナのSAMの維持に関わるCLV1,RPK2,CLV2と最も高い相同性を示し、マメ科植物はSAMの発生ネットワークを根粒共生系にリクルートした可能性が示唆された。そこで、根粒の進化的起源と考えられるSAMの自己組織的でダイナミックな振舞いを理解するために、WUS-CLV相互制御ダイナミクス、SAMの空間的な制約、細胞分裂を取り込んだ、二次元細胞格子による数理モデルを構築し、シミュレーション解析を行った。 その結果、本モデルはシロイヌナズナの野生型、wus、clv変異体等の表現型や、SAMに外科的処置を施した時の再生過程などをよく再現できることが分かった。
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