計画研究
1. ヒト肺がんにおけるゲノム解析(河野): 肺腺がん組織の全エクソ―ムシークエンスの結果、分子治療標的となるがん遺伝子異常陰性の肺がんで、SWI/SNFクロマチンリモデリング複合体BRG1/SMARCA4やARID1A遺伝子の欠損型変異が生じていることを明らかにした。RET遺伝子融合のゲノム切断点の構造解析を行った。その結果、切断には大きさ数-kbのホットスポットが存在し、切断に対する非相同末端結合やBreakage-induced replicationのようなDNA切断修復機構を介した誤修復がRET融合を生じさせることを明らかにした。2. BRG1失活がん細胞の特異的殺傷法の探索(河野): 肺がん組織由来DNAのターゲットリシークエンスの結果、BRG1の発現消失は必ずしも欠損型変異(truncation変異)によるものではないことを明らかにした。肺がん細胞株の全ゲノムシークエンスにより、発現消失例の一部では、遺伝子内欠損や遺伝子再構成が生じており、BRG1の発現消失の一因となっていることを見出した。このような再構成を持つ細胞株においても、合成致死分子BRM/SMARCA2の阻害は増殖阻害を起こすことから、同阻害は要因によらずBRG1欠損がんの治療標的となることが示された。BRM/SMARCA2タンパク質のATPase阻害剤のスクリーニングを製薬企業との共同研究により推進した。3. クロマチンリモデリング遺伝子群の失活がん細胞の特異的殺傷法の探索(荻原): ARID1A, CBPについて、合成致死の関係にある有力な酵素遺伝子を各一個同定した。CBP変異がんにおいては、その合成致死分子の発現抑制が、細胞周期停止とアポトーシスを生じさせることを見出した。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015 2014 その他
すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 6件) 学会発表 (6件) (うち招待講演 4件) 備考 (1件)
Cancer Res
巻: 74 ページ: 2465-2475
10.1158/0008-5472.CAN-13-3608
巻: 74 ページ: 4948-4949
10.1158/0008-5472.CAN-14-0674
Oncogene
巻: 33 ページ: 1640-1648
10.1038/onc.2013.125
Radiother Oncol
巻: 111 ページ: 222-227
10.1016/j.radonc.2014.03.015
J Thoracic Oncol
巻: 9 ページ: 622-630
10.1097/JTO.0000000000000135
PLoS One
巻: 9 ページ: e115121
doi: 10.1371/journal.pone.0115121
J Radiat Res
巻: 55 ページ: 613-628
10.1093/jrr/rrt227
http://www.ncc.go.jp/jp/nccri/divisions/genome_biology/index.html