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2022 年度 実績報告書

子どもの貧困調査データベース構築研究

計画研究

研究領域貧困学の確立:分断を超えて
研究課題/領域番号 22H05098
研究機関東京都立大学

研究代表者

阿部 彩  東京都立大学, 人文科学研究科, 教授 (60415817)

研究分担者 川口 遼  名古屋大学, ジェンダーダイバーシティセンター, 特任助教 (20795942)
研究期間 (年度) 2022-06-16 – 2027-03-31
キーワード貧困 / 社会政策 / 地域格差 / データベース
研究実績の概要

2022年度は以下を行った:(1)データベース構築:モデル事業(JST RISTEX JPMJRX18B2、2018~21年度)にて構築された既存データベース(11自治体)を拡張し、愛知県、沖縄県の統合を行った。また、北海道調査のデータを入手し、統合の方針について検討している。(2)独自調査:2022年度東京都子どもの生活実態調査を実施した。対象地区は墨田区、豊島区、中野区の小学5年生、中学2年生、16-17歳とその保護者である(中野区は16-17歳のみ)。6月から自治体と交渉を始め、7-8月に対象自治体との協定等締結、9月に業者選定、10月業者決定および調査票設計・倫理審査、1月の調査票配布、2月回収となった。回収数は5963であった(回収率27.8% )。3月にデータ納品となり、現在、データクリーニングを行っているところである。(3)剥奪指標の国際比較:剥奪指標の構築に不可欠である「2022年子ども必需品調査」を11月、「2022年大人必需品調査」を2023年2月に実施した(n=2000)。現在、分析中である。
さらに、所得ベースの貧困基準の長期的動向と妥当性の確認および地理的分布の変化を分析するために厚生労働省「国民生活基礎調査」のデータ二次利用申請を行い入手した。また、子どものアウトカムと貧困の関連の分析の一環として厚生労働省「国民健康・栄養状況調査」の二次利用申請を進めた。
国際比較研究においては、国立香港大学らと共同で行っているEast Asian Model Family Databaseプロジェクトにおいて国際ワークショップを企画し、2022年度はアジアにおけるコロナ感染症の再拡大もあったことから2023年4月に国立台湾大学にて開催することとした。国際ワークショップでは若手研究者ワークショップも開催し、日本、韓国、台湾の若手研究者の交流を行う。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本計画研究の領域研究内の役割は以下の3つである。(1)データベース構築 これについては、ほぼ計画通りに進捗している。2022年度は、日野市、愛知県、沖縄県、北海道の調査データをデータベースに統合する予定であったが、北海道以外は統合を完成している。北海道は調査の内容が他と大きく異なることもあり、テクニカルな問題をクリアする必要があるため次年度に継続して検討する。(2)独自調査 2022年度は、東京都の3自治体における子どもの生活実態調査を行った。自治体の選定および自治体との協議、協定の締結までに予定よりも時間を要したが、2023年1月には実査を開始し、2月に回収。データ入力まで行うことができた。これは、予定通りの進捗状況である。(3)国際比較研究 2022年は、East Asia Model Family Databaseの日本データの構築を行っており、2021年度までのモデルファミリー・データを作成した。2023年度4月から、2023年バージョンのデータベースを構築する予定である。これまで構築されたデータベースを用いた分析は、国立台湾大学、ソウル大学などの研究者らと共著で取りまとめられており、国際ジャーナルなどに投稿、国外学会にて報告されている。EU-SILCとの比較を念頭においた剥奪指標の構築については、その前段階となる社会必需品調査の基礎データを得るために2回のインターネット調査を行った。これらの結果は、2023年度の国際学会にて報告される。

今後の研究の推進方策

(1)データベース構築  2023年度は、まず2022年度に実施した「2022年東京子どもの生活実態調査」を子どもの貧困データベースに統合する。その上で、2016年東京調査との比較を行い、経年変化を確認する。また、本領域の他の班が本データを活用できるように準備・配布する。
(2)独自調査  2023~6年度は、小規模のフォローアップ調査を用いて、クロスセクション・データを補完する。対象者や調査設計について、2023年6月までに班代表会議(X00班)にて決定し、本班(A01班)にって実施する。
(3)剥奪指標の分析   貧困指標の精緻化のために、剥奪指標の経年変化とその妥当性を検討する。用いるのは、2022年度に行われた一般市民へのインターネット調査からのデータである。データ分析の過程において必要と判断されれば、2023年度にも同様の調査を再度実施する。
(4)国際比較  2023年4月に国立台湾大学と国際シンポジウムと若手研究者向けワークショップを実施する。また、東アジア・モデルファミリー・データベース、EU-SILCなどとの剥奪指標の国際比較のためのデータ整備と分析を行う。

  • 研究成果

    (28件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 国際共同研究 (5件) 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件、 招待講演 3件) 図書 (3件) 備考 (2件)

  • [国際共同研究] 国立台湾大学(その他の国・地域)

    • 国名
      その他の国・地域
    • 外国機関名
      国立台湾大学
  • [国際共同研究] Seoul National University/Chungnam National University(韓国)

    • 国名
      韓国
    • 外国機関名
      Seoul National University/Chungnam National University
  • [国際共同研究] National University of Singapore(シンガポール)

    • 国名
      シンガポール
    • 外国機関名
      National University of Singapore
  • [国際共同研究] Renmin University of China(中国)

    • 国名
      中国
    • 外国機関名
      Renmin University of China
  • [国際共同研究] 香港大学(その他の国・地域)

    • 国名
      その他の国・地域
    • 外国機関名
      香港大学
  • [雑誌論文] 生活実態調査を用いた小・中学生の抑うつに関する分析 ―学校生活と子どもの抑うつとの関連に注目して―2023

    • 著者名/発表者名
      近藤天之・加藤承彦・石塚一枝・阿部彩
    • 雑誌名

      厚生の指標

      巻: 印刷中 ページ: -

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 子どもの生活実態調査データベースを用いた貧困研究2022

    • 著者名/発表者名
      阿部彩・川口遼
    • 雑誌名

      貧困研究

      巻: 29 ページ: 4-16

  • [雑誌論文] コロナ禍と「援助に値する」貧困:一般市民を対象にしてビネット調査を用いた分析2022

    • 著者名/発表者名
      山田壮志郎・阿部彩
    • 雑誌名

      大原社会科学研究所雑誌

      巻: 766 ページ: 2-15

  • [雑誌論文] Explaining the Child Poverty Outcomes of Japan, South Korea and Taiwan2022

    • 著者名/発表者名
      Bradbury, Bruce, Aya Abe, Markus Jantti, Inhoe Ku & Julia Shu-Huah Wang
    • 雑誌名

      Luxembourg Income Study Working Paper series

      巻: 840 ページ: 1-20

  • [雑誌論文] 母親の育児環境と心身健康に関する一考察2022

    • 著者名/発表者名
      落合恵美子・郭雲蔚・姚逸葦
    • 雑誌名

      子ども・若者貧困研究センターWorking Paper Series

      巻: 25 ページ: 1-20

  • [雑誌論文] 養育者支援の目標家庭に関する一考察2022

    • 著者名/発表者名
      落合恵美子・郭雲蔚・姚逸葦
    • 雑誌名

      子ども・若者貧困研究センターWorking Paper Series

      巻: 26 ページ: 1-20

  • [雑誌論文] 定時制・通信制の高校生の貧困:「東京都子供の生活実態調査」から2022

    • 著者名/発表者名
      阿部彩
    • 雑誌名

      子ども・若者貧困研究センターWorking Paper Series

      巻: 27 ページ: 1-15

  • [雑誌論文] 高校生アルバイト就業率の時系列分析:ジェンダー差に着目して2022

    • 著者名/発表者名
      大石亜希子・川口遼
    • 雑誌名

      子ども・若者貧困研究センターWorking Paper Series

      巻: 28 ページ: 1-20

  • [雑誌論文] 貧困家庭の不登校は脱落型不登校と言えるのか?2022

    • 著者名/発表者名
      梶原豪人
    • 雑誌名

      子ども・若者貧困研究センターWorking Paper Series

      巻: 29 ページ: 1-25

  • [雑誌論文] 貧困家庭の不登校の子どもがフリースクールに通う理由:TEMによる実証研究2022

    • 著者名/発表者名
      梶原豪人
    • 雑誌名

      子ども・若者貧困研究センターWorking Paper Series

      巻: 30 ページ: 1-30

  • [雑誌論文] 日本のコロナ禍における子どもへのマルトリートメント:休校中の就労・家計の変化との関連に着目した分析2022

    • 著者名/発表者名
      近藤天之・松原祥・石塚美悠・加藤里菜・小池綾乃・劉名洋・梶原豪人・阿部彩
    • 雑誌名

      子ども・若者貧困研究センターWorking Paper Series

      巻: 32 ページ: 1-25

  • [学会発表] 子どもの健康格差につながる生活格差2022

    • 著者名/発表者名
      阿部彩
    • 学会等名
      日本小児科学会学術集会
    • 招待講演
  • [学会発表] コロナ禍における休校と親の就労・経済状況の変化と子どもへのマルトリートメントの関係2022

    • 著者名/発表者名
      松原祥、他
    • 学会等名
      社会政策学会
  • [学会発表] 子供の貧困・子どもにおける格差2022

    • 著者名/発表者名
      阿部彩
    • 学会等名
      日本社会福祉学会
  • [学会発表] 基調講演:健康格差から子どもの貧困対策を考える2022

    • 著者名/発表者名
      阿部彩
    • 学会等名
      医療経済学会
    • 招待講演
  • [学会発表] コロナ禍における子育て世帯の生活困難2022

    • 著者名/発表者名
      阿部彩
    • 学会等名
      日本家族療法学会
    • 招待講演
  • [学会発表] In transition? Japanese Welfare state before/after COVID-192022

    • 著者名/発表者名
      Abe, Aya
    • 学会等名
      The 18th Annual Conference of the East Asian Social Policy Network
    • 国際学会
  • [学会発表] COVID19 Social Policy Response in East Asia2022

    • 著者名/発表者名
      Wang, Shu-Huah Julia, Aya Abe, Ji Young Kang, Inhoe Ku, Irene Y.H., Chenhong Peng & Xi Zhao
    • 学会等名
      East Asian Social Policy Network
    • 国際学会
  • [図書] 自助社会を終わらせる2022

    • 著者名/発表者名
      宮本 太郎
    • 総ページ数
      334
    • 出版者
      岩波書店
    • ISBN
      4000615335
  • [図書] 生活不安の実態と社会保障2022

    • 著者名/発表者名
      田辺 国昭、西村 幸満、国立社会保障・人口問題研究所
    • 総ページ数
      306
    • 出版者
      東京大学出版会
    • ISBN
      4130511483
  • [図書] Poverty and Inequality in East Asia: Work, Family and Policy2022

    • 著者名/発表者名
      Saunders, P., Inhoe Ku, eds.
    • 総ページ数
      300
    • 出版者
      Edward Elgar
    • ISBN
      978-1800888975
  • [備考] 貧困統計ホームページ

    • URL

      https://www.hinkonstat.net

  • [備考] 学術変革領域研究(A)貧困学の確立:分断を超えて

    • URL

      https://poverty-research.jp/

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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