医薬品や農薬などの生理活性を示す化合物は,エナンチオマー(互いに鏡に映した構造の化合物,鏡像異性体とも呼ばれます)間で活性の強さや作用が異なることが多く,医薬品などの開発のためには,一方のエナンチオマーのみを光学純度よく合成することが求められている。我々は,有機小分子であるキラルリン酸が不斉触媒として優れた触媒能を示すことを報告している。今回,この触媒を用いて,光学活性化合物の新たな合成法を見出し,光学活性なアミンの合成,軸不斉化合物の不斉合成,キラルなインドール誘導体の合成など,新たな不斉合成の方法論の開拓に成功した。この手法は,薬の中間体等の不斉合成などに用いられる可能性がある。
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