研究領域 | ゲノム・遺伝子相関:新しい遺伝学分野の創成 |
研究課題/領域番号 |
23113008
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 国立遺伝学研究所 |
研究代表者 |
高橋 文 国立遺伝学研究所, 集団遺伝研究系, 助教 (90370121)
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研究分担者 |
長田 直樹 国立遺伝学研究所, 集団遺伝研究系, 助教 (70416270)
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キーワード | 体色変異 / ドーパミン / 性行動 / RNAseq / 生殖的隔離 / 次世代シークエンサー / ebony / ショウジョウバエ |
研究概要 |
本研究では、ショウジョウバエの体色と行動の両方に関与するドーパミン生合成系の遺伝子群をモデルケースとして、環境適応の副次的な影響として起こる性行動の不適合性により新規生殖隔離が生じる分子機構を解明することを目的とする。また、より広範な視点からゲノムワイドなトランスクリプトームの遺伝子ネットワークにおける「ゲノム・遺伝子相関」の全体像を把握し、その重要性について定量的な議論を展開することを目標としている。 H23年度は、ショウジョウバエの性行動を制御するドーパミン生合成系脳遺伝子を解明するため、性行動をビデオ撮影するための高速ビデオカメラを設置し、予備的な動画撮影を行った。また、定量PCR装置を購入しドーパミン生合成系の遺伝子についてプライマーのテストを行った。今後は、性行動の微細な行動要素の種内変異、定量PCRによる種内変異の解析を行う。また、性行動の不適合性を生む多面発現遺伝子のゲノム進化過程の解明するため、上記により明らかになった性行動を制御する脳遺伝子について、発現制御領域のDNA塩基配列を決定し、その配列情報の解析を行う計画である。 次世代シークエンサーを用いたシス制御領域の転写制御の「ゲノム・遺伝子相関」解析については、対立遺伝子を区別したトランスクリプトーム定量データを得るために、18系統の雌雄から頭部と体のRNAを抽出し、Illumina HiSeq2000によるRNAseqデータを取得した。今後は、このデータについてシス制御領域による組織間発現制御の相関解析を行い、「ゲノム・遺伝子相関」が、遺伝子発現ネットワークを介してどのように集団内ゲノムの不適合性を引き起こしているかについて明らかにしていく計画である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分子実験、行動実験のための設備のセットアップを終えることができた。また、ゲノムワイドな発現解析のための第一段階のデータ取得が完了しているため。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者の所属機関が変更したため、設備の設置位置の調整や計画の微調整が必要となるが、研究計画に大きな変更はない。本科研費により購入した備品は、全て新たな所属機関へ貸与という形で移動させ、使用可能な状況である。研究分担者とは、今後とも密な連絡を取るとともに、打ち合わせのための会議も定期的に行う計画である。また、本年度より、PDを雇用し、より本格的な実験の遂行を予定している。
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