研究領域 | 生命素子による転写環境とエネルギー代謝のクロストーク制御 |
研究課題/領域番号 |
23116004
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研究種目 |
新学術領域研究(研究領域提案型)
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
深水 昭吉 筑波大学, 生命環境系, 教授 (60199172)
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研究分担者 |
高橋 秀和 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (90450402)
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キーワード | 転写 / 線虫 / メチル化 / S-adenosylmethionine / メチオニン代謝 / LC-MS/MS / ストレス耐性 / 栄養 |
研究概要 |
平成23年度は、SAMを介したメチオニン代謝と転写環境構築のクロストーク制御機構の解明を目的として、線虫・マウスを用いて以下に示すような生化学的・分子細胞生物学的解析を行った。 1. 栄養・食餌、ストレスによるSAM生成量とメチル化への影響:まず、SAM 量について、LC-MS/MSを用いた定量的分析系の立ち上げに成功した。この方法を用いて、線虫抽出液や細胞抽出液中のSAM量の測定を行い、SAM合成酵素(SAMS [SAM synthetase]; C. elegans、MAT [methionine adenosyltransferase]; mammal)のノックダウンにおいて、SAM量が減少することを明らかにした。今後は生化学的手法を用いて、SAM量減少が細胞、および個体に与える影響について解析を行う。培養細胞においては、SAM合成酵素のノックダウンによってヒストンのメチル化が減弱することを既に見いだしている。 2. メチル化修飾による転写環境の構築と個体機能制御 線虫・SAM合成酵素sams-1,3,4,5遺伝子変異体を用いて、表現型の解析を行った。その結果、SAMS-1が限定的条件下で熱ストレス耐性の獲得に必須であることを明らかとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
分析化学的解析のひとつとして、LC-MS/MSを用いたSAM量の定量に成功したことの意義は大きい。今後はこの手法を用いて、代謝物量の変化とタンパク質メチル化の相関について研究を進めていくことができる。また、線虫遺伝子変異体の戻し交配を行うなど、ツールの整備を行うとともに、熱ストレス耐性などの新たな表現型を見いだしており、今後の成果が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
線虫のDNA結合モチーフを持つ因子・約600個について、ノックダウンスクリーニング用ライブラリーの構築に既に着手している。平成24年度にはこのノックダウンスクリーニングを確立し、メチオニン代謝について転写制御の観点から解析を行っていく。これによりメチオニン代謝と転写環境構築のクロストーク制御機構について、研究を進展させていく。
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