本研究では、胸腺微小環境を特徴づける胸腺上皮細胞亜集団の分化と機能に関与する分子の同定と機能解析を行った。その結果、まず、胸腺皮質上皮細胞と胸腺髄質上皮細胞の共通前駆細胞を同定し、それが転写因子Foxn1の直接制御にてβ5tを発現する皮質上皮様前駆細胞であることを明らかにした。また、成体期の髄質上皮細胞の維持には成体期でなく新生仔期のβ5t発現前駆細胞が寄与することを見出した。更に、皮質上皮細胞依存性「正の選択」がTリンパ球の抗原応答性を調整する分化制御過程であること、ケモカイン分子種CCL21Serを産生する髄質上皮細胞亜集団がTリンパ球の自己寛容確立に不可欠であることを明らかにした。
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