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2015 年度 実績報告書

遺伝子転写再構築系による転写サイクル制御機構の解明

計画研究

研究領域高精細アプローチで迫る転写サイクル機構の統一的理解
研究課題/領域番号 24118003
研究機関長崎大学

研究代表者

伊藤 敬  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 教授 (90306275)

研究分担者 大熊 芳明  長崎大学, 医歯薬学総合研究科(医学系), 客員研究員 (70192515)
広瀬 豊  富山大学, 大学院医学薬学研究部(薬学), 准教授 (00218851)
研究期間 (年度) 2012-06-28 – 2017-03-31
キーワードクロマチン / ヒストン / リン酸化 / 癌化
研究実績の概要

ヒストンH2Aのリン酸化によりサイクリンD1の遺伝子発現が制御されることを明らかにしてきた。これらヒストンの翻訳後修飾とクロマチン構造の役割を解明することによって、生体内での転写サイクルと生命現象との接点を明らかにする。
平成27年度はヒストンリン酸化酵素VRK1をノックダウンすることによりがん細胞のG1/S期が抑えられ細胞増殖抑制が起きることを明らかにした。さらにこの増殖抑制はノックダウンに抵抗性のVRK1の導入により回復することを明らかにした。ヒストンH2AT120のリン酸化模倣である変異T120DによりNIH3T3に導入すると癌化トランスフォームが起きるが、平成27年度はさらにリン酸化の責任酵素であるVRK1自体をNIH3T3に導入し過剰発現させることによっても癌化トランスフォームが起き、ヌードマウスに腫瘍を作ることを明らかにした。癌ゲノムのデータベースからVRK1自体の変異があることも見出し、代表的なVRK1変異を作成し細胞に導入したクローンを作成済みである。平成28年度はさらにこれらの細胞の解析を行う予定である。
一方ヒストンH2Aリン酸化には細胞周期のM期と関連したリン酸化と遺伝子転写と関連したリン酸化があることが我々の研究と他の報告より明らかになっている。酵母に於いてはBub1がM期と関連したリン酸化を触媒することが報告されている。我々は人のBub1(hBub1)が同様にM期と関連したリン酸化を触媒することを明らかにした。
これらの結果はヒストンH2Aリン酸化が複数の酵素により触媒され癌化に重要な役割を担っていることを示唆する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

ヒストンのリン酸化修飾とクロマチン構造の役割を解明する過程で、癌化と現象の原因を明らかにすることができた。詳細なメカニズムを明らかにすることにより抗がん剤の標的も明らかになる。さらにこれらの研究を推進することにより、詳細に生体内での転写サイクルと生命現象との関わりを明らかにしていけると考える。

今後の研究の推進方策

今回申請者ら癌細胞、正常培養細胞を用いてヒストンのリン酸化修飾と癌化と関係を明らかにしてきた。さらに研究結果を動物実験と試験管内の実験により確認していく予定である。
ヒストンH2Aリン酸化が複数の酵素、hVRK1およびhBub1により触媒されることを明らかにした。ヒストンH2Aリン酸化には少なくとも細胞周期のM期と関連したリン酸化と遺伝子転写と関連したリン酸化の2種類がある。hVRK1が遺伝子転写と関連したリン酸化、hBub1がM期と関連したリン酸化を触媒するかいなかを確認する。さらにhVRK1およびhBub1をノックダウンすることにより癌細胞増殖が抑えられることも明らかにする。平成28年度はこれらを確認して癌化のメカニズム解明と新規抗がん剤開発を目指す。メカニズムの解明と関連して我々は従来の試験管内での遺伝子転写実験手技を発展させ、全ゲノムを用いてクロマチンを再構築し転写サイクルによる遺伝子転写開始機構を明らかにしたいと考えている。
新学術領域の残り1年間により新規の研究領域を展開していきたい。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2016 2015

すべて 雑誌論文 (3件) (うち国際共著 3件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 3件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] SMARCAD1 is an ATP-dependent stimulator of nucleosomal H2A acetylation via CBP, resulting in transcriptional regulation.2016

    • 著者名/発表者名
      Doiguchi M, Nakagawa T, Imamura Y, Yoneda M, Higashi M, Kubota K, Yamashita S, Asahara H, Iida M, Fujii S, Ikura T, Liu Z, Nandu T, Kraus W. L., Ueda H, Ito T.
    • 雑誌名

      Scientific reports

      巻: 6 ページ: 20179

    • DOI

      10.1038/srep20179

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Enhancer of Acetyltransferase Chameau (EAChm) Is a Novel Transcriptional Co-Activator2015

    • 著者名/発表者名
      Nakagawa T, Ikehara T, Doiguchi M, Imamura Y, Higashi M, Yoneda M, Ito T.
    • 雑誌名

      PLoS One

      巻: 10 ページ: e0142305

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0142305

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Dzip3 regulates developmental genes in mouse embryonic stem cells by reorganizing 3D chromatin conformation.2015

    • 著者名/発表者名
      Inoue D, Aihara H, Sato T, Mizusaki H, Doiguchi M, Higashi M, Imamura Y, Yoneda M, Miyanishi T, Fujii S, Okuda A, Nakagawa T, Ito T.
    • 雑誌名

      Scientific reports

      巻: 5 ページ: 16567

    • DOI

      10.1038/srep16567

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著 / 謝辞記載あり
  • [学会発表] ATP依存的なクロマチンリモデリング因子でCBPによるヒストンアセチル化を刺激し転写を亢進する2015

    • 著者名/発表者名
      土井口 真康 、中川 武弥 、伊藤 敬
    • 学会等名
      BMB2015
    • 発表場所
      神戸ポートピアホテル(兵庫県神戸市)
    • 年月日
      2015-12-01 – 2015-12-04
  • [学会発表] Dzip3はマウス胚性幹細胞において染色体の高次構造を調整することによって発生に関する遺伝子を制御する。2015

    • 著者名/発表者名
      井上 大嗣、里 龍晴、相原 仁、水崎 博文、土井口 真康、東 美樹、宮西 隆幸、奥田 晶彦、中川武弥、伊藤 敬
    • 学会等名
      BMB2015
    • 発表場所
      神戸ポートピアホテル(兵庫県神戸市)
    • 年月日
      2015-12-01 – 2015-12-04

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公開日: 2017-01-06  

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