計画研究
平成28年度はヒストンH2AのC末端リン酸化と癌化に関する研究を継続して行い成果を発表した。ヒストンリン酸化酵素であるVRK1をノックダウンするとCyclinD1を含む種々の遺伝子発現が低下し癌細胞増殖も低下する。癌遺伝子と考えられているCyclinD1に着目し、CyclinD1の遺伝子発現を調節するプロモーター領域ではVRK1の局在とヒストンH2AのC末端リン酸化の関係を明らかにした。さらにヒストンH2AのC末端リン酸化の癌化への役割を明らかにするため、ヒストンH2AThr120をリン酸化トレオニンの模倣であるアスパラギン酸で置換し NIH3T3に導入し効果を調べた。リン酸化を模倣した変異ヒストンの発現はNIHH3T3を悪性転化トランスフォームすることを明らかにした。この結果はヒストン修飾酵素の異常がヒストンH2Aを高リン酸化されることにより癌化を引き起こすエピジェネティックなメカニズムを証明したものである(Aihara et al, Mol Cell, 2017)。研究分担者の大熊らは、真核生物の転写サイクルの転写開始から伸長段階までの転写とクロマチン構造を制御し、細胞分化や増殖に関わるメディエーター複合体(メディエーター)と、RNAポリメラーゼIIに正確で効率的な転写開始と開始から伸長への移行を行わせる基本転写因子TFIIEを中心に研究を進めた。その結果、自然免疫に関わるTLR9活性化の際にメディエーターが重要な役割を果たすこと(Yamamoto et al., Genes Cells, 2017)、基本転写因子TFIIEの結晶構造を決定し、その2つのサブユニットが直列に結合した構造をしていることを明らかにした(Mita et al., J. Mol. Biol., 2016)。
28年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (5件) (うち国際共著 2件、 査読あり 5件、 謝辞記載あり 5件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (6件) 図書 (1件) 備考 (1件)
GENES TO CELLS
巻: 22 ページ: 265-276
10.1111/gtc.12475.
Mol Cell
巻: 63 ページ: 176-188
10.1016/j.molcel.2016.09.012
Scientific reports
巻: 6 ページ: 20179
10.1038/srep20179
JOURNAL OF MOLECULAR BIOLOGY
巻: 428 ページ: 4258-4266
10.1016/j.jmb.2016.09.008.
JOURNAL OF BIOCHEMISTRY
巻: 160 ページ: 111~120
10.1093/jb/mvw018.
http://www.med.nagasaki-u.ac.jp/biochem/research03.html