研究実績の概要 |
(1)当事者研究から抽出した仮説の定式化と検証に関しては、当事者研究によって導かれた「情報のまとめあげ困難説」を外部観測的な側面を説明するモデルと統合し、新しいASD理論を提唱する論文を執筆した(Inui, Kumagaya, & Myowa, 2017, Frontiers in Human Neuroscience)。また仮説検証実験については発声の特徴(Lin et al., 2018, Acoustical Science and Technolog)、ボディイメージ(Asada et al., 2017, Journal of Autism and Developmental Disorders)、触覚過敏(Fukuyama et al., 2017, Scientific Reports)に関して論文化した。 (2)聴覚過敏と慢性疼痛に関しては、仮想現実(VR)を用いた神経リハビリテーション治療を行い、その治療機序が身体性の再獲得(知覚-運動協応の再統合)であることを解明した(Osumi et al., 2017, European Journal of Pain)。 (3)当事者研究の臨床効果に関しては、当事者主導臨床研究を行い、その成果を日本臨床試験学会および日本発達神経科学学会で発表した。また当事者研究の方法的拡張の試みとして、自閉スペクトラム症者にとって快適な「言いっぱなし聞きっぱなし」という独自の順番交代規則を実装したSNSの開発についての学会発表を行い(Ichikawa et al., AICHI)、クラウドソーシング活用の可能性に関する論文を執筆した(Aramaki et al., 2017, JMIR Research Protocols)。またアウトリーチとして一般向けの書籍(熊谷, 2017, 金剛出版)を出版した。
|