研究領域 | ナノスピン変換科学 |
研究課題/領域番号 |
26103002
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大谷 義近 東京大学, 物性研究所, 教授 (60245610)
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研究分担者 |
JANSEN Ronald 独立行政法人産業技術総合研究所, その他部局等, 研究員 (40600250)
松倉 文礼 東北大学, 学内共同利用施設等, 教授 (50261574)
木村 崇 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 教授 (80360535)
小野 輝男 京都大学, 化学研究所, 教授 (90296749)
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研究期間 (年度) |
2014-06-27 – 2019-03-31
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キーワード | スピン流 / スピン軌道相互作用 / スピンホール効果 / スピン電荷変換 |
研究実績の概要 |
平成26年度は基板の影響を取り除き界面で生じる現象のみを捉えることの出来る素子作製に必要不可欠な収束イオンビーム微細加工装置の購入を進めた。スペックの設定、それに適合する装置の選定を行い年度内に購入と設置を完了した。現在、装置を実際に使用して素子作製プロセスを最適化しているところである。 これと並行して、予備実験として超伝導体を利用したスピンホール効果、金属/酸化物界面に特徴的に生じるラシュバ効果を利用したスピン・電荷変換の測定、Pt/IrMn/FeCoBの多層構造膜中のPt層のスピンホール効果を利用したIrMn反強磁性体へのスピン注入、強磁性半導体(Ga,Mn)As/非磁性金属Pt接合でのスピンポンピングによる磁化ダイナミクス-スピン流変換、逆スピンホール効果によるスピン流-電流変換を行った。 その結果得られた主な成果は次の通りである。1)超伝導NbN内で準粒子を媒介として巨大なスピンホール効果が生じることを発見した。2)銅/Bi酸化物界面でスピンモーメンタムロッキングによる巨大なスピン流・電流変換が生じることを見出した。3)Pt層から注入されたスピン流がIrMnを媒介してFeCoBまで到達することを発見した。4)(Ga,Mn)As/Pt界面では(Ga,Mn)As/GaAs界面に比して約10倍の高効率スピン流生成が可能であることを明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
実績でも述べたように購入計画に基づいて機器選定を行い、収束イオンビーム微細加工装置を購入と装置の設置を完了することが出来た。その他予備実験も行い、様々な界面により生じるスピン変換物性を開拓することが出来たことからおおむね順調に進展していると自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、得られた界面誘起スピン変換物性に着目して、それらを抽出することの出来る素子作製の最適化をはかると同時にさらに新しい磁気的スピン変換物性の開拓に注力する。 特に、界面だけではなく良質な単結晶にも着目し、それらを微細化する事により出現する特徴的なスピン変換物性の探索を試みる。
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