計画研究
27年度は(1) n型ゲルマニウムにおける室温スピン輸送・電気的スピン変換の実現、スピン信号の温度依存性の解析によるスピン緩和機構の解明、(2)トポロジカル絶縁体におけるマルチキャリア輸送機構の精密解明モデルの構築と計算、(3)スピンコート法で作製した薄膜(40nm)YIGを用いたスピン変換効率の研究、(4)FePtを用いた新規スピンバルブ素子の開発、(5)ホイスラー合金を用いたスピンペルチエ効果の観測、(6)III-V族スピンレーザーの開発にむけた世界最長スピン寿命の実現、などの成果を挙げた。(1)は英国・Warwick大学との共同研究でありシリコン基板上にエピ成長させたゲルマニウム薄膜をスピンチャネルとしたものでありPhys. Rev. Lett.誌に掲載されると同時にEditor's Suggestionなどにも選定された。また京大HPを通じたプレス発表も行っている。(2)は表面キャリアとバルクキャリアの2キャリア伝導を精密評価できる点に新規性があり、これは電子と正孔が共存する系にも適用できるモデルである点も重要である。(3)は民間企業との共同研究であり、本領域の目指すところとも一致する研究成果である。(4)はA01班との連携研究でスピンバルブ素子に新しい視点を導入する点に意義があり、(5)はスピンペルチエ効果の増強の実現、(6)はIII-V族材料中の世界最長のスピン寿命の実現という面に意義がある。それにともなって国際会議での招待講演も多く得ていることも特筆すべき点である。
2: おおむね順調に進展している
世界初のゲルマニウムにおける室温スピン輸送及びスピン変換の実現を筆頭に、論文の発信、プレス発表、企業との共同研究、国際共同研究など領域の目指す方向性に合致した先進的かつ国際的な成果と研究推進が行われている。今後は班内、領域内共同研究を更に強化することで、更なる発展が目指せる。
引き続き国際共同研究・領域内共同研究を強化しながら本領域の目指す新物性の開拓や共通学理の理解に向けてこのペースで研究を推進する。
すべて 2016 2015 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (11件) (うち査読あり 10件、 謝辞記載あり 10件) 学会発表 (67件) (うち国際学会 16件、 招待講演 11件) 図書 (3件) 備考 (1件)
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