計画研究
平成28年度は以下の研究成果を達成した。(1)単層グラフェンに強電界を印加することによる両極性スピン変換の達成と、そのスピン変換機構が逆スピンホール効果であることの決定(同時期に報告された逆ラシュバ=エーデルシュタイン効果、という主張が誤りであることを明確に証明)、(2)単層カーボンナノチューブにおけるスピン変換が負のスピンホール角によって決定されていることの発見、(3)2次元電子系におけるスピン輸送とスピン変換の実現、(4)Bi/Ag系における新スピン変換機構である逆ラシュバ=エーデルシュタイン効果の大きさの定量的評価(従来の報告よりも効果は1桁程度小さい可能性があることを示唆する)、(5)シリコン、ゲルマニウムにおけるスピン緩和時間の温度依存性の精密評価、(6)スピンレーザー実現のためのGaAs/AlGaAs(110)量子井戸におけるスピン緩和時間増強の発見。Physical Review LettersやNature Materialsなどを始めとする有力ジャーナルで成果発信し、新聞報道などを通じた成果の社会還元にもよく取り組めた年度であった。ドイツやアメリカとの国際共同研究も順調に進行している。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画通りに研究成果は発信できている。成果が掲載される学術誌もPhysical Review LettersやNature Materials、Physical Review Bなどトップジャーナルが非常に多く、成果のインパクトは非常に大きい。論文の発信、プレス発表、企業との共同研究、国際共同研究など領域の目指す方向性に合致した先進的かつ国際的な成果と研究推進が行われている。今後、班内、領域内共同研究、特に理論家との連携を更に強化することで、更なる研究の発展が目指せる。
引き続き国際共同研究・領域内共同研究を強化しながら本領域の目指す新物性の開拓や共通学理の理解に向けてこのペースで研究を推進する。従来の常識をひっくり返すような、驚きに溢れた成果の発信を目指したい。
すべて 2017 2016 その他
すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (26件) (うち国際共著 3件、 査読あり 18件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 14件) 学会発表 (70件) (うち国際学会 37件、 招待講演 19件) 備考 (3件) 産業財産権 (1件)
Journal of Crystal Growth
巻: 486 ページ: 676-679
https://doi.org/10.1016/j.jcrysgro.2016.09.070
Applied Physics Leters
巻: 110 ページ: 072404
http://dx.doi.org/10.1063/1.4976691
Nature Materials
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1038/NMAT4857
AIP Advances
巻: 7 ページ: 055808-1-6
http://dx.doi.org/10.1063/1.4972852
Appl. Phys. Lett.
巻: 110 ページ: 143109 (1-3)
10.1063/1.4979831
Nano Res.
巻: 10 ページ: 718-728
10.1007/s12274-016-1355-8
Journal of the Physical Society of Japan
巻: 86 ページ: 011001
http://dx.doi.org/10.7566/JPSJ.86.011001
Physical Review B
巻: 94 ページ: 075304
https://doi.org/10.1103/PhysRevB.94.075304
巻: 93 ページ: 214406
https://doi.org/10.1103/PhysRevB.93.214406
巻: 93 ページ: 174428
https://doi.org/10.1103/PhysRevB.93.174428
Applied Physics Express
巻: 9 ページ: 053002
http://doi.org/10.7567/APEX.9.053002
Physical Review Letters
巻: 116 ページ: 166102
https://doi.org/10.1103/PhysRevLett.116.166102
巻: 9 ページ: 063006-1-3
https://doi.org/10.7567/APEX.9.063006
Materials Transactions
巻: 57 ページ: 760-766
http://doi.org/10.2320/matertrans.ME201503
Applied Physics Letters
巻: 109 ページ: 022406-1-4
http://dx.doi.org/10.1063/1.4958894
巻: 94 ページ: 094435-1-7
http://dx.doi.org/10.1103/PhysRevB.94.094435
巻: 94 ページ: 245302-1-5
http://dx.doi.org/10.1103/PhysRevB.94.245302
Physical Review B [Rapid Communication]
巻: 94 ページ: 140401-1-5
http://dx.doi.org/10.1103/PhysRevB.94.140401
巻: 109 ページ: 222405
http://dx.doi.org/10.1063/1.4971281
巻: 108 ページ: 172412
http://dx.doi.org/10.1063/1.4948466
Scientific Reports
巻: 6 ページ: 37282-1-8
http://doi.org/10.1038/srep37282
Jpn. J. Appl. Phys.
巻: 55 ページ: 113001-1-5
10.7567/JJAP.55.113001
J. Phys. Soc. Jpn.
巻: 85 ページ: 105002 (1-2)
10.7566/JPSJ.85.105002
Phys. Rev. B
巻: 94 ページ: 125307(1-8)
10.1103/PhysRevB.94.125307
Nano. Lett.
巻: 16 ページ: 3788-3794
10.1021/acs.nanolett.6b01186
RSC Adv.
巻: 6 ページ: 67586-67591
10.1039/C6RA11648E
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2016/170214_2.html
https://www.ph.tum.de/latest/news/spintronics/?tag=TUPHDEP
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2016/160426_2.html