計画研究
同じ分子でも電子状態が異なれば物性は異なるので、原理的には励起波長に依存した異なる光化学反応性が期待できる。しかし数十原子以上からなる分子では、高位電子励起状態が生成しても迅速に最低励起状態に緩和するため、電子状態に強く依存した反応例はほとんど知られていなかった。我々は凝縮系におけるフォトクロミック分子系を対象とした研究から、逐次二光子吸収による開環反応の促進や励起モードに依存した反応性の差違を見いだしてきた。これらの結果に基づき、本課題では高位電子状態の利用とその一般化手法の開拓を目的とし、1.禁制高位電子状態のダイナミクス、2.振動位相制御による二光子反応の効率化、3.高位励起状態からの反応過程の開拓の3点から研究を行った。既に完成したフェムト秒多波長過渡吸収測定装置を用い、S1状態の反応性の異なるジアリールエテン誘導体のみならずフルギド誘導体にも研究を展開し、逐次二光子励起で生成した高位電子励起状態からの効率の良い開環反応のためには、一般的に電子状態の対称性、また高位励起状態におけるフランクコンドン核配置が重要な働きを示すことが明らかにした。また、一段目の励起により生成する低位電子励起状態で反応に関わる低周波コヒーレント振動が観測される化合物に対する測定から、上記の結果の妥当性を確認すると共に振動周期の位相を選択した2段目の励起によって、より効率的な反応制御が可能となることを示した。またフェムト秒2段励起手法を光イオン化過程における高位電子励起状態からの電子放出の機構解明に応用し、これらの結果をふまえた高位励起状態からの反応過程の展開を行った。その他、複合励起手法の応用展開として、メゾスコピック空間におけるサブミクロンから数ミクロンサイズの微小運動に光反応を利用したシステムを構築した。以上を含め、過去5年間の研究結果を総括し、今後の研究展開の方針を決定した。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (2件) 雑誌論文 (16件) (うち査読あり 16件) 学会発表 (110件) (うち国際学会 44件、 招待講演 3件) 図書 (4件) 備考 (2件)
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