研究領域 | 高次複合光応答分子システムの開拓と学理の構築 |
研究課題/領域番号 |
26107009
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研究機関 | 横浜国立大学 |
研究代表者 |
横山 泰 横浜国立大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (60134897)
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研究分担者 |
生方 俊 横浜国立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (00344028)
川村 出 横浜国立大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (20452047)
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研究期間 (年度) |
2014-06-27 – 2019-03-31
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キーワード | フォトクロミズム / 酸塩基反応 / フェナントロリン / XRD / SEM / 凝集 / 拡散係数 / 蛍光 |
研究実績の概要 |
本年度は、フェナントロリン基を二つもつビスチエニルエテンの開環体が、クロロホルム-アセトン混合溶媒中シュウ酸と塩を作って凝集するが、紫外光照射によって閉環体になると溶解し、この溶解凝集挙動がフォトクロミズムに伴って可逆的に引き起こせることを明らかにした。その過程で、凝集体が周期構造を持つことをXRD測定およびSEM観察により明らかにした。NMRによる拡散係数の測定によって凝集体の分子量を見積り、最終的に、凝集体は開環体とシュウ酸が1:1で塩を作っているが、紫外光照射によって溶解する時は1:1構造が破壊されていることを明らかにした。 また、ジアリールエテンの側鎖間相互作用をフォトクロミズムによって制御することによって蛍光性を変化させられる系を構築した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画に記載した、①フェナントロリン基を二つ有するジアリールエテンと種々の2塩基酸の協同的相互作用のフォトクロミズムによる制御、②蛍光性官能基を分子内に持ち、分子内相互作用によって蛍光挙動をスイッチできるジアリールエテンの創製、を共に達成した。①についてはすでに論文投稿し、受理されてWebで公開されている。②についても現在論文執筆中である。 以上より、論文公開まで進めることができたテーマがあるので、非常に順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は、フェナントロリン基を二つもつビスチエニルエテンの開環体および閉環体と、光照射によって強酸を発生させることができるスピロピランを組み合わせ、開環体及び閉環体との酸塩基反応によるフォトクロミック化合物のスペクトルのファインチューニングを光照射のみで制御できる系(全光制御)の構築を行う。 また、タンパク質に取り込ませたジアリールエテンの高エナンチオ選択的フォトクロミズムを行う。 さらに、ジアリールエテンの側鎖間に働く相互作用の光スイッチの系を拡張し、いくつかの新しい系を構築する。
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