研究領域 | 高次複合光応答分子システムの開拓と学理の構築 |
研究課題/領域番号 |
26107010
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
阿部 二朗 青山学院大学, 理工学部, 教授 (70211703)
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研究分担者 |
坂本 章 青山学院大学, 理工学部, 教授 (90262146)
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研究期間 (年度) |
2014-06-27 – 2019-03-31
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キーワード | 分子機械 / 分子モーター / 光スイッチ / 光物性 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、分子集合体がリアルワールドで協調性のある動的性質を示す分子マシンの創製であるが、その実現には多数励起分子の協同的光応答の動的制御が不可欠であり、高度な複合光励起応答系の構築が基盤となる。2014年度は、光駆動部となる新たな高速フォトクロミック部位の開発と、実働部となるペプチドファイバーに関する検討を行った。主な研究成果としては、新たな高速フォトクロミック分子の開発、高速フォトクロミック分子を組み込んだ光応答性ジペプチドファイバーの開発があげられる。 ①ペンタアリールビイミダゾール(PABI)の開発:アリール基のオルト位に二つのイミダゾール環を導入したPABIを合成し、高速フォトクロミズムを示すことを明らかにした。PABIは容易に合成ができ、イミダゾール環の2位に結合しているアリール環に官能基を導入することが容易であるため、今後、様々な分野で高速光スイッチ分子として利用されることが期待される。②フェノキシル-イミダゾリルラジカル複合体(PIC)の開発:アリール基のオルト位にフェノキシルラジカルとイミダゾリルラジカルを導入したビラジカルが、分子内ラジカル結合により高速フォトクロミズムを示す無色のPICを生成することを見いだした。③フォトクロミックジフェニルアラニンの自己組織化ナノファイバーの創出:フェノキシル-イミダゾリルラジカル複合体(PIC)をジフェニルアラニンに組み込んだフォトクロミックジペプチド誘導体を合成し、それらの自己組織化体の形成、及び物性評価を行った。このジペプチド誘導体は自己組織化により、ピッチ長が数十nmの螺旋ファイバーを形成することが明らかになった。このジペプチドファイバーは、分子マシンの実働部として期待できる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
合成開発に成功した新規高速フォトクロミック分子PABIとPICは合成が容易であり、様々な分子修飾が可能な高性能フォトクロミック分子である。従来の高速フォトクロミック分子であるナフタレン架橋型イミダゾール二量体や[2.2]パラシクロファン架橋型イミダゾール二量体では実現が困難であったポリペプチドへの導入を可能とするものであり、実働分子マシンの設計自由度を大幅に広げるフォトクロミック分子である。
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今後の研究の推進方策 |
高速フォトクロミック分子であるPABIやPICを組み込んだポリペプチドファイバーを開発し、実働分子マシンとしての機能を検証する。
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