研究領域 | 高次複合光応答分子システムの開拓と学理の構築 |
研究課題/領域番号 |
26107013
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
小畠 誠也 大阪市立大学, 大学院工学研究科, 教授 (00325507)
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研究期間 (年度) |
2014-06-27 – 2019-03-31
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キーワード | 結晶 / フォトクロミズム / 複合光励起 / 結晶成長 / 相転移 / ジアリールエテン / 光誘起形状変化 / フォトメカニカル |
研究実績の概要 |
本研究では、フォトクロミックジアリールエテン結晶およびアモルファス固体が複数の光励起(複合光励起)によって複雑に光応答する分子システムを構築し、フォトメカニカル新現象の創出とメゾスコピック領域における実働的な光駆動マイクロマシンの創製を目指している。平成26年度には、結晶への金コーティングを試み、その屈曲挙動、耐久性、および金コーティングを利用した電気スイッチングを試みた。金コーティングの厚みの増加で屈曲速度は低下し、結晶厚みと屈曲速度および金コーティング厚みと屈曲速度との関係を明らかにした。また、屈曲による金コーティングの亀裂は確認されず、数十回の繰り返しにも耐えることを確認した。さらに、屈曲を利用した電気スイッチングにも成功し、論文執筆を行った。さらに、結晶の屈曲における照射波長依存性について検討した。1個の同一結晶において、照射波長が異なると全く異なる屈曲挙動を示した。そのメカニズムの解明を行い、現在論文執筆を予定している。さらに、熱的相転移を示す結晶を見出し、フォトクロミック反応が相転移をアシストしていることを明らかにし、論文執筆を行った。アモルファアスマイクロファイバーの屈曲挙動についても現在研究を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、光応答性フォトクロミック分子結晶の結晶成長、光誘起結晶変形、相転移などの固体機能物性変化を複数の励起光あるいは時空間を考慮した励起によって、これまでにない新しいフォトメカニカル現象の開拓とメカニズムの解明を行う。平成26年度は、結晶への金コーティングによる光誘起結晶屈曲挙動および屈曲の照射波長依存性において、大きな成果が得られた。これらは本研究の計画している複合光励起であり、これまで行われてきた照射方法と異なる方法により、異なる屈曲挙動を示すことから研究を推進するための重要な成果の一つと考えられる。また、熱的相転移を示す結晶を見出し、フォトクロミック反応が相転移をアシストしていることを明らかにし、今後の研究の推進に大きく貢献できる。これらに関しては論文執筆済みあるいは論文執筆予定であり、平成26年度の既発表学術論文5報、学会発表12件を合わせ、十分な成果を発表しており、おおむね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
本研究では、光応答性フォトクロミック分子結晶の結晶成長、光誘起結晶変形、相転移などの固体機能物性変化を複数の励起光あるいは時空間を考慮した励起によって、これまでにない新しいフォトメカニカル現象の開拓とメカニズムの解明を行っている。これまで、順調に研究計画通り進捗しており、今後も計画通りに研究を進める。すなわち、(1) 結晶成長場の構築、(2) 光応答性分子および集合体の設計、(3) 光励起方法、(4) 特異な結晶変形、相転移、(5) メカニズムの解明、(6) 実働機能システムの構築を行う。
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