計画研究
パイロトーシスはカスパーゼ1,4,5の活性化によって誘導されるネクローシス様の炎症誘導性プログラム細胞死である。病原体に感染したマクロファージの細胞死として良く知られるが、T細胞や腸管上皮細胞などもパイロトーシスを起こす。我々は、腫瘍細胞にもパイロトーシスを誘導しうることを示してきた。本研究はパイロトーシスの分子機構と役割を明らかにすることを目的とし、以下の成果を得た。1)近年、カスパーゼ1の基質でパイロトーシス実行蛋白として働くガスダーミンD(GSDMD)が同定されたが、GSDMD欠損マクロファージや大腸癌細胞株でもカスパーゼ1を活性化すると野生型細胞より少し遅れて細胞死が誘導された。そこで、カスパーゼ1依存性GSDMD非依存性細胞死の分子機構を解析した。その結果、GSDMD欠損細胞や元々GSDMDの発現が低い神経細胞やマスト細胞ではカスパーゼ1がBid依存性アポトーシスを誘導することが明らかになった(Nat. Commun, 2019 in press)。カスパーゼ1は筋委縮性側索硬化症や虚血性脳損傷などの疾患モデルで神経細胞死に関与するとの報告があり、我々の成果はこれらの疾患の発症機序の解明に寄与する可能性がある。2)パイロトーシスシグナル伝達に関与する遺伝子を探索し、細胞分裂や細胞内分子輸送に関わる遺伝子群を同定した。3)アポトーシス細胞とパイロトーシス細胞が細胞外に放出するメタボライトを比較し、パイロトーシスから選択的に放出されるメタボライトの一種が細菌感染などによるマクロファージのIL-1βの産生を阻害する作用を示すことを見出した。このメタボライトはパイロトーシスに特徴的なダイイングコードと考えられる。4)がん治療モデルを用い、がん細胞にパイロトーシスを誘導するとアポトーシスを誘導した場合よりも強い抗腫瘍免疫を誘導しうることを示した。
平成30年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 国際共同研究 (1件) 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件、 招待講演 1件) 備考 (2件)
Nat Commun
巻: in press ページ: in press
in press
ImmunoHorizons
巻: 2 ページ: 129-141
10.4049/immunohorizons.1700074
http://dimb.w3.kanazawa-u.ac.jp/sousetsuf/sousetsu13.htm
http://dimb.w3.kanazawa-u.ac.jp/essay/saiboushinokigen.htm