研究課題/領域番号 |
01044029
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山内 昌之 東京大学, 教養学部, 助教授 (80158071)
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研究分担者 |
KHALIKOV A.K カザン大学, 文学部, 教授
DUMONT Paul ストラスブール大学, 文学部, 教授
内藤 正典 一橋大学, 社会学部, 助教授 (10155640)
栗生沢 猛夫 北海道大学, 文学部, 助教授 (40111190)
坂本 勉 慶応義塾大学, 文学部, 助教授 (90051854)
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キーワード | 民族問題 / エスニシティ / 都市 / トルコ人 / 労働移民 / アゼルバイジャン人 / タタ-ル人 / ネットワ-ク |
研究概要 |
この共同研究に携わる者の一致した認識は、近現代の社会を揺り動かす要因の一つである民族問題、エスニシティの問題を都市という「場」において総合問、多角的に比較検討しようというところにある。人びとの暮らしの場である都市こそもっとも先鋭なかたちで、反目、矛盾が具体的な姿をとって現われてくると思うからである。二年目に入った本研究は、以上のような問題意識にしたがって、ソ連のムスリム・トルコ系地域の都市と中東のそれとを連関させながら次の調査研究を実施した。 第一にソ連邦のカザン、アルマアタ、フルゼンの三つのムスリム都市を訪ね、現地人研究者の案内でエスニシティを異にする住民相互間の衝突、反目の具体的事例をつぶさに観察した。現地のトルコ語方言を使っての聞き取りはロシア語を介する場合に比べ、倍する成果を挙げることができたと今確信している。 第二に都市のエスニシティ問題を経済的な視点から分析した。まずトルコ人の労働移民の問題を取り上げた。トルコ、ドイツの二国は現在、出稼ぎ者、帰還者双方が引き起こす種々の矛盾噴出によって深刻な都市問題に見舞われているが、これをそれぞれ無関係な問題としてとらえるのではなく、二国間関係の中で位置づける努力をした。次いで経済的なエスニシティ問題の二番目としてイスタンブル、テヘランの商業の実態を、両都市で絨毯の卸売り取引に従事していた少数民族商人=アゼルバイジャン人に着目しながら明らかにし、二都市間の比較、関係を把握した。最後に比較、関係の視野をソ連、中東の都市と日本のそれにまで広げ、デュモン教授にはトルコと日本の都市比較、ハリコフ教授にはタタ-ル人のネットワ-クを通して帝政ロシア、ソ連、日本との間の有機的で壮大な関係を明らかにしてもらった。
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