研究課題/領域番号 |
01301033
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研究機関 | 国際基督教大学 |
研究代表者 |
立川 明 国際基督教大学, 教養学部, 助教授 (70119056)
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研究分担者 |
松浦 良充 明治学院大学, 文学部, 専任講師 (30209499)
坂本 辰朗 創価大学, 教育学部, 助教授 (60153912)
早川 操 名古屋大学, 教育学部, 助教授 (50183562)
竹市 良成 愛知学院大学, 教養部, 教授 (80102721)
市村 尚久 早稲田大学, 教育学部, 教授 (30063556)
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キーワード | アメリカ高等教育史 / 能力観 / 学生選抜 / オ-ナ-ズ・プログラム |
研究概要 |
平成元年度の研究実績の基礎としてまず研究活動のあらましを述べたい。研究計画にかかわる資料の調査および収集については、研究代表者が8月および11月の米国での学会参加を利用して、200点余りの関連資料を収集し整理した。更に、決算報告書に記載したごとく多数のアメリカ大学史・科学史・思想史関係の図書を購入した。研究テ-マに関して米国の代表的高等教育史家・教育哲学者3名に代表者が直接インタ-ヴュ-・録画し、これを後述の全体集会で検討した。日本国内に在住の2名の外国人研究者、4名の日本人研究者から専門的知識の提供を得た。8月(東京)と12月(箱根)との全体集会を開催して研究の計画を具体化し、個別の研究成果を発表・検討した。それらを平成元年度の研究成果の論文集として20部製本した。 次いで主な知見を述べる。 1.アメリカの高等教育における能力観を論ずる場合、世紀の転換期以前と以降とでは、異なった枠組みを用いて論ずる必要があること。植民地大学から、19世紀後半の大学生については、今日的意味での学力としての能力よりは、性格概念が重要であること。 2.今日的な能力観が支配的となり、それに相即する制度が確立するのは、20世紀前半、中でも両次大戦間の20年余りの時期であること。この時期に、現代の学生選抜の基礎が出来、またオ-ナ-ズ・プログラムに代表される能力重視の制度が定着して、アメリカに支配的な人間観との矛盾も本格化する。 3.この時以降のハッチンズやジョン・ロ-ルズの高等教育と能力に関する議論は、上述の時期の問題点と深く係わること。 4.世紀転換期の能力観の変化の背後には、ダ-ウィンの進化論のもたらした、前成説-後成説から、遺伝-環境への枠組みの転換があること。
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