研究課題/領域番号 |
01301033
|
研究種目 |
総合研究(A)
|
配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
教育学
|
研究機関 | 国際基督教大学 |
研究代表者 |
立川 明 国際基督教大学, 教養学部, 助教授 (70119056)
|
研究分担者 |
伊藤 敏雄 皇学館大学, 文学部, 助教授 (40151518)
坂本 辰朗 創価大学, 教育学部, 助教授 (60153912)
浅沼 茂 名古屋大学, 教育学部, 助教授 (30184146)
竹市 良成 愛知学院大学, 教養部, 教授 (80102721)
市村 尚久 早稲田大学, 教育学部, 教授 (30063556)
|
研究期間 (年度) |
1989 – 1990
|
キーワード | アメリカ高等教育 / 歴史 / 能力 / メリトクラシ- / オ-ナ-ズ・プログラム / ジェンダ- |
研究概要 |
1.アメリカの高等教育に学力としての能力[観]が侵入する過程は、基本的には18世紀から19世紀にかけて起こった、性格・徳概念の変容として位置付けられること。2.19世紀の初頭、カレッジの文化のみのアメリカに大学の学生・教授にふさわしい基準を意識的に導入したのは、ジェファ-ソンおよびG.ティクナ-であったが、共にヨ-ロッパからの影響の下に、学生の学科・科目の選択の能力を強調した。3.今日支配的な「抽象的な知的能力」としての能力観は、高等教育において大学院制度が確立し、Ph.D.論文作成が必須となり、講義が recitation を駆逐した過程でて生まれたが、この際に目立った、自立的に学問する精神的貴族年義はジェファ-ソンの主張を反映し、1830年代以降のジャクソン主義と鋭く対立した。4.20世紀前半には知能テストの広搬な実施・分析の結果として、固定的な能力観が優勢となった。能力差を根拠として、高等教育にも機能分化へ動きが活発化した。オ-ナ-ズ・プログラムもその一つであったが、これはアングロ・サクソン流の人格教育への強調に留まらず、小規模のカレジでの研究振興策の側面もあった。5.1960年代以来のアメリカ高等教育においては、能力の問題は、社会階級・性差による差別の批判の中心に展開した。メリトクラシ-を批判的に検討したジョン・ロ-ルズは、功利主義の限界を指摘し、新たな社会契約論を基礎に、能力万能論を制御する社会哲学を構築し、支持者を得た。女性の能力に関する議論も、女性に異固有な本性をから、そうした前提を疑う議論へと進み、その結果、女性の高等教育進出を支持する根拠は、根本的な転換を経験した。
|