研究分担者 |
永田 昌男 東京大学, 農学部, 助教授 (70107407)
富野 士良 東京都立大学, 理学部, 教授 (30101075)
田村 俊樹 蚕糸, 昆虫農業技術研究所・遺伝子工学研究室, 室長
古賀 克巳 九州大学, 農学部, 教授 (40038261)
伊藤 雅信 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 助手 (60221082)
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研究概要 |
まず野蚕フィブロインについては,サザンブロッティングの結果からテンサンのフィブロイン遺伝子のコア領域と相同性のある配列が各種の野蚕ゲノムDNAから検出された。この配列の各種制限酵素切断断片の大きさは種によって異なり,また得られるシグナル強度にはかなりの差があった。さらにカイコ幼虫外皮タンパク(LCP)のcDNAおよび遺伝子をクロ-ニングし,その構造と発現について解析した。cDNAの塩基配列より推定したLCPの一次構造は,ショウジョウバエ,タバコスズメガ等の幼虫外皮タンパクと高い相同性がみられたが,カイコ蛹外皮タンパク(PCP)とは相同性がみられなかった。LCP遺伝子は少なくとも3つのエクソンより構成され,そのmRNAは幼虫期を通じて表皮細胞中に存在するが,吐糸期から蛹化時にかけて減少し,蛹期には消失することが判明した。続いてアルドラ-ゼについては,胚型および幼虫型アイソザイムを精製し,性質を調べた。その結果,ともに40KDaのサブユニットからなる4量体であるが,2種の基質に対する活性の比(FDP/FIP)は胚型が3,蟻蚕型が0.65であり,酵素の安定性についても蟻蚕型は精製後も速やかに失活することが分った。アルドラ-ゼcDNAおよびゲノムDNAについては現在検討中である。また,カイコ中腸のアルカリ性ホスファタ-ゼについては,m,s型アイソザイムのクロ-ニングを行ない,m型のcDNAを得た。塩基配列解析により,m型の遺伝子には1641bpの読み枠があり,36残基のシグナルペプチドを含む547残基のアミノ酸がコ-ドされていた。さらに,消化管のキモトリプシン様プロテア-ゼcDNAの一部の塩基配列を明らかにし,関連プロテア-ゼとの相同性を比較した。光沢不眠蚕遺伝子nmーgは前胸腺に作用し,エクジステロイドの合成低下をもたらし,不眠蚕となり,致死すると考えられるが,今回は血液遊離アミノ酸やタンパクの電気泳動像を正常蚕と比較したところ,一部に差がみられた。
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