研究課題/領域番号 |
01304018
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研究機関 | 高知大学 |
研究代表者 |
永森 通雄 高知大学, 農学部, 教授 (60036704)
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研究分担者 |
二宮 生夫 愛媛大学, 農学部, 助教授 (80172732)
荻野 和彦 愛媛大学, 農学部, 教授 (90026394)
西村 武二 高知大学, 農学部, 助教授 (30036743)
池本 彰夫 高知大学, 農学部, 教授 (00093948)
安藤 貴 岩手大学, 農学部, 教授 (90202788)
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キーワード | 長伐期施業 / スギ高齢林分 / 現存量 / リタ- / 凍裂 |
研究概要 |
本年度は、この研究の最終年度になるので、過去2年間の研究成果をふまえて、当初に計画した研究予定のうち、まだ行われていない研究を重点的に実施し、その後、3ヵ年にわたる研究成果についてのとりまとめを行った。本年度の研究成果の概要を以下に示す。まず、寒冷地における高齢スギの凍裂は、60年生以上の林分で多く認められた。すなわち、岩手大学滝沢演習林では、20林分中、凍裂の認められなかったのは1林分のみで、その他の林分は、ha当り凍裂木本数の最大値は59本を示し、凍裂木の出現本数率は、最大で29%であった。また、林齢が高くなるほど、凍裂木のha当り本数と出現本数率が増加する傾向を示した。一方、施業との関係をみると、最近に間伐が行われた林分の凍裂木の出現本数率は一般に低かったが、それでも、10%に近い林分も認められた。これらのことから、今後、長伐期施業林分が増加すると、凍裂の被害が顕在化するものと考えられた。つぎに、スギ老齢林分の樹冠構造についてみると、単木の樹冠の増加量が各林木の樹高生長量に対応しており、樹高生長が樹冠の増加に重要な意味をもつものであることが明らかになった。また、形態的な樹冠要素から求められる樹冠表面積が、生態的要素たとえば、葉重量などに密接に関係していることが明らかになった。すなわち、ha当りの樹冠量(林冠表面積)は、林冠からの光をさえぎるものであり、林内照度の制御にも深く関係しており、生長と林内照度の制御の両方を同時に説明することが可能となった。このことは、スギ老齢林分における樹冠を基礎にした施業体系の確立に対する手がかりになると考えられた。このほか、スギ老齢林分の上層と下層とに分けて、葉の光合成速度を測定し、光ー光合成曲線を解析した。そして、スギ老齢林分において、どのようにして暗い光環境に適応して物質生産を行い、かつ、呼吸をどのようにして行っているかを検討した。
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