研究概要 |
平成3年度の研究実績の概要は次の通りである。 1.層序学的研究 関門層群下半部の脇野層群について,模式地である若宮地区で層序を確立した。さらに,小倉南部の山田緑地一帯の地質学的層序学的研究を完成させた。 関門層群上半部の下関亜層群についても,下関市吉見付近で層序学的研究を行い,多くの資料が得られた。 2.岩相解析 脇野亜層群の堆積相解析資料のまとめを行った。また,下関亜層群については,彦島〜吉母海岸で詳細な岩相柱状図を作り,新知見を得た。 3.古流系解析 下関市彦島〜吉母一帯に分布する下関亜層群を中心に古流系解析を行い,若干の資料を得ることができた。 4.堆積岩岩石学的研究 関門層群脇野・下関両亜層群の赤色岩層を中心に岩石学的研究を行い赤色岩の形成過程を検討した。この結果,堆積時の後背地における火山活動と含鉄珪酸塩鉱物に富む基盤岩類の風化による鉄成分の供給,及び温緩多湿気候が赤色岩の形成に重要な役割を果したことが結論される。 5.古地磁気学的研究 関門層群脇野・下関両亜層群の露出地要地で得られた試料について古地磁気測定を行っており,資料が得られつつある。 6.朝鮮半島慶尚層群との比較研究 関門層群の層序学的・堆積学的資料を,同時代の慶尚層群のそれと比較研究を始めた。その結果,両層群は一つの連続した堆積盆地ではなく,別々の盆地に堆積したことが強く示唆された。
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