研究概要 |
現代社会の学校ストレス、職場ストレスの実態を明らかにする目的で、第1にGHQ、THI、CESーDなどの調査法の適応妥当性を検討し、これを用いて中学生、官庁職員のストレス評価を行った。第2に転職を余儀なくされた労働者のストレスを不安測度調査法を用いて明らかにした。第3に大型デパートの女子勤務者の労働ストレスの状況を各種生理機能検査および神経化学的方法を用いて検討した。第4に消防局勤務者のうち総合指令作業従事者の職場ストレスの実態を上述の方法を用いて検討した。第5に交通騒音を防音室内で再生暴露し、騒音ストレスの中枢神経系に与える影響機構を脳波およびカテコールアミンの変動をもとに検討した。第6に、精神作業及び運動負荷あるいは騒音と運動同時負荷時のストレス状態を、生理・生化学的手法を用いて検討した。第7に、大学勤務及び通学者の一週間のストレス状況を行動様式と尿中カテコールアミン排泄量から検討した。その結果、 (1)中学生の精神的及び身体自覚症状のうち、抑欝や不安を主とする精神症状に関する因子が最も大きいことが明らかになった。官庁勤務者の男子では20歳代は他の群に比して精神的・身体的症状の訴えが最も多く、心身症・神経症判別値も高かった。また、家庭と職場のストレス感は抑うつ性,心身症,神経症の判別値と有意な相関を示した。 (2)出向者の状態不安得点は高く、それは出向というおかれている状態によることが明らかとなった。 (3)大型デパート勤務女子のストレスは,中高年者より若年者に多くみられ、これには社会経済的要因、ライフスタイル、職場における身分や地位などが深く関与していることが明らかとなった。 (4)総合指令作業従事者の自覚的ストレス感は指令作業と直接的な関連性を有しており、またストレス感の強さ、ストレスによる生理機能の変動には性格要因が大きく影響していることが明らかとなった。 (5)交通騒音の負荷により誘発脳波が変動することが明らかとなった。 (6)ストレス負荷により脳波は変化し、その変動は負荷の種類により異なることが明らかになった。運動作業単独負荷で引き起こされる生理学的変化は、好きな音楽、騒音などの音環境の種類により影響されることが明らかとなった。 (7)大学勤務者及び通学者の勤務日における尿中カテコールアミン排泄量は、休日と比較して上昇している人が多く、特に午後に上昇している人が多かった。
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