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1990 年度 実績報告書

20世紀の芸術表象における〈演劇性〉についての総合的研究

研究課題

研究課題/領域番号 01450006
研究機関東京大学

研究代表者

渡邊 守章  東京大学, 教養学部, 教授 (60012332)

研究分担者 小林 康夫  東京大学, 教養学部, 助教授 (60153623)
杉橋 陽一  東京大学, 教養学部, 助教授 (50015278)
蓮實 重彦  東京大学, 教養学部, 教授 (30012454)
高辻 知義  東京大学, 教養学部, 教授 (80012467)
高橋 康也  東京大学, 教養学部, 教授 (20012297)
キーワード演劇性 / 前衛芸術 / 表象 / 芸術の受容 / パフォ-マンス / 映像 / 舞台構造 / マス・メディア
研究概要

第2年次は、シェイクスピアの『ハムレット』をめぐって、「メタ・シアタ-」の構造によって明らかになる「演劇性」についての共同研究を行った。その主要なテ-マは、1.「メタ・シアタ-」の言説構性、2.「演劇についての演劇」の歴史的定位、3.「メタ構造」と20世紀の前衛、4.前衛とサブ・カルチャ-、5.映画における「バックステ-ジ物」、6.引用のパフォ-マンス、7.『ハムレット』における劇と演劇性、であり、これらの研究を通じて、権力の劇における「演劇性」の構造と作用を分析した。20世紀の前衛芸術において、「物語」の空無化と「言説」の脱構築がすすんだ後で、それまでは、空疎な物語=劇と因習的な表現=言語とみなされてきた「19世紀型」の音楽劇が、「劇場芸術」として新たに見直され、優れた舞台演出家の手によって再生したのは、「劇」の真実と「演劇」の虚構といった、従来は無批判に受け入れられてきた考えそのものの修正を迫っているものである。この観点から、19世紀後半から、20世紀初頭の音楽劇の現代における演奏・演出・受容が、本研究の一つのコア-となった。
「演劇性」にとって「演技」や「演技者=俳優」の問題は基底的であるが、その意味でも、チェホフの『かもめ』は、「演劇についての演劇」の問題群そのものと言える。特に「演劇性」をめぐる考察において、従来ともすれば見落とされがちな「言語」の問題が、「劇中劇」の言語表象とその劇的・演劇的作用、この戯曲のモデルとも言うべき「ヴォ-ドヴィル構造」、劇中で話題となる「文学論」などを通じて明らかになったのは、大きな収穫であった。『ハムレット』『かもめ』の映像資料作成に際して、舞台の映像的記録に関する従来の探究が理論的にも一歩進められた。

  • 研究成果

    (36件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (36件)

  • [文献書誌] 渡邊 守章: "日記の仕掛け" 文学. 第1巻第2号. 114-115 (1990)

  • [文献書誌] 渡邊 守章: "ベジャ-ルの秘法" The Fabulous. 第0号. 25-28 (1990)

  • [文献書誌] 渡邊 守章: "《メタ・リング》あるいはベジャ-ルによる《指輪》" ダンスマガジン. 35. 8-12 (1990)

  • [文献書誌] 渡邊 守章: "チェホフ作『かもめ』ー演出ノ-ト" 銀座セゾン劇場パンフレット. 12 (1990)

  • [文献書誌] 高橋 康也: "How to Present a Japanese Ghost:Touring Europe with a Noh Troupe" Temenos. 11. 5-20 (1990)

  • [文献書誌] 高橋 康也: "語る/騙る/カタルシスー『ハムレット』へのノ-ト" 学鐙. vol.8. 4-27 (1990)

  • [文献書誌] 高辻 知義: "『ニ-ベルングの指環』の背景" 比較文學研究. 58号. 45-55 (1990)

  • [文献書誌] 小林 康夫: "デカルト的透視法" 現代思想. 第18巻・5号. 138-150 (1989)

  • [文献書誌] 小林 康夫: "限りなく無に近いグレ-" 東高現代美術館『荒川修作展』カタログ. 52-53 (1990)

  • [文献書誌] 小林 康夫: "逃走の物語・砂漠の音楽" 現代詩手帖特装版『ポ-ル・ボウルズ』. 245-251 (1990)

  • [文献書誌] 小林 康夫: "イメ-ジの欲望・戦争のヴィジョン" 現代詩手帖特装版『Ryu Book』. 172-179 (1990)

  • [文献書誌] 杉橋 陽一: "綾子小論ー「倦鳥」参加の頃" 風. 59-53 (1991)

  • [文献書誌] 岩佐 鉄男: "マルセル・デュシャン〈遺作〉註解の試み" 東京大学教養学部外国語科研究紀要. 第36巻第2号. 21-38 (1989)

  • [文献書誌] 沼野 充義: "Drovistevennost' i odnolineinost' : Stanovlenie lichnosti Arkadiia v'romane Dostoevskogo “Podrostok"" Japanese Slavic and East European Studies. vol.10. 7-30 (1989)

  • [文献書誌] 渡邊 守章: "演劇とは何か" 講談社, 347 (1990)

  • [文献書誌] 蓮實 重彦: "饗宴I" 日本文芸社, 554 (1990)

  • [文献書誌] 蓮實 重彦: "饗宴II" 日本文芸社, 426 (1990)

  • [文献書誌] 蓮實 重彦(共著): "Racconti crudeli di gioventu^^′ Nuovo Cinema giapponese degli anni 60" E.D.T., 310 (1990)

  • [文献書誌] 蓮實 重彦(共著・編): "The Desert under the Cherry Blossoms" NFM/IAF, 88 (1991)

  • [文献書誌] 蓮實 重彦(編): "Japanese Kings of the Bs" NFM/IAF, 88 (1991)

  • [文献書誌] 高辻 知義(共著): "トリスタンとイゾルデ" 白水社, 152 (1990)

  • [文献書誌] 杉橋 陽一: "剥落する青空ー細見綾子論" 白鳳社, (1991)

  • [文献書誌] 小林 康夫(共著): "物語" 岩波書店, 440 (1990)

  • [文献書誌] 小林 康夫: "起源と根源ーカフカ・ハイデガ-・ベンヤミン" 未来社, (1991)

  • [文献書誌] 沼野 充義: "夢に見られて" 作品社, 353+ix (1990)

  • [文献書誌] 渡邊 守章訳: "シェイクスピア『ハムレット』" 東京グロ-ブ座, 277 (1990)

  • [文献書誌] 渡邊 守章訳: "チェホフ『かもめ』" 東京銀座セゾン劇場, 140 (1990)

  • [文献書誌] 高橋 康也訳(共訳): "ベケット『ベスト・オブ・ベケット』全三巻第1巻196第2巻196第3巻204" 白水社, (1990,1991)

  • [文献書誌] 高辻 知義訳: "ワ-グナ-『パスティッチョ』『序曲について』(『ワ-グナ-著作集1』所載)" 第三文明社, 465 (1990)

  • [文献書誌] 小林 康夫訳: "エマニュエル・レヴィナス『他者のユマニスム』" 書肆風の薔薇, 187 (1990)

  • [文献書誌] 小林 康夫訳(共訳): "ジャック・デリダ『シボレ-ト』" 岩波書店, 228+v (1990)

  • [文献書誌] 岩佐 鉄男訳(共訳): "リチャ-ド・フランシス『ジャスパ-・ジョ-ンズ』" 美術出版社, 129 (1990)

  • [文献書誌] 岩佐 鉄男訳(共訳): "キナストン・マクシャイン他『ウォ-ホル画集』" リブロポ-ト, 478 (1990)

  • [文献書誌] 沼野 充義訳(共訳): "スタニスワフ・レム『完全な真空』" 国書刊行会, 310 (1989)

  • [文献書誌] 沼野 充義訳(共訳): "ブラ-ト・オクジャワ『シ-ポフの冒険.あるいは今は昔のボ-ドビル』" 群像社, 429 (1989)

  • [文献書誌] 小林 康夫編・訳(共訳): "現代音楽のポリティックス" 書肆風の薔薇, 206 (1991)

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公開日: 1993-08-11   更新日: 2016-04-21  

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