研究概要 |
1990年農業センサスの「販売目的の農家以外の事業体」について統計分析をおこなった。以下の点が指摘できる。販売目的の農家以外の事業体は,全体として経営体数が減少しているが、穀作,豆・いも作等土地利用型部門と施設園芸部門では,経営体数が増加していること。土地利用型部門の農家以外の事業体では,協業(共同)経営体,会社共に増加しているが,施設園芸部門では会社の経営体数が増加していること。地域的には,太平洋ベルト地帯と北陸で増加率が高いこと。これらの事業体の経営面積も増加していが、畑ではのびず、水田でのびていること。水田では,その過半が稲以外の作物だけを作った田であり、転作と関連してのびていること。しかし,稲を作った田の面積も特定地域では顕著にのびていること。以上である。これまで、ケ-ス・スタディ-から、共同経営・法人経営を,特定の地域においては経営発展のモデルとして位置づけることができるとして、当研究を始めたのであるが、統計的裏付けを与えることができた。 部門による差異を比較検討するため,鹿児島と静岡で茶業の実態調査をおこない、荒茶加工のための集落ぐるみの有限会社,専門農協による共同加工の展開を明かにした。生葉生産工程では,地形条件により機械化の違いにより、茶園の共同作業の進展に差異がみられた。兼業化の進展と共に茶加工会社による茶園経営への転化の可能性も考えられた。 水田地帯の調査では,借地型共同経営が規模拡大と特別栽培米へのとりくみの中で,コスト低下と価格維持をはかりつつ,経営の充実をはかっていることを明かにこえた。
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