研究概要 |
平成2年7月より研究代表者太田猛彦が東京農工大学農学部から東京大学農学部へ移動した。この移動は突然であったため,研究計画に多少の狂いが生じたが,以前より東京大学愛知演習林を試験地の一つとして使用しており,主フィ-ルドの東京農工大学波丘地試験地も遠方ではないので、次年度以降の研究計画には支障はないものと思われる。 さて,本年度も上記波丘地試験地での観測・実験が中心となった。飽和地中流の集中に関する研究代表者の「ソ-ズボリュ-ム流出概念」の検証をひきつづき行い(日林誌72巻、1990)、さらに電導度の変化による集中流出過程の解析,一時的地下水の急激な上昇の持つ意味の解析,パイプフロ-を中心とした地中に起る侵食現象の解析等が行われた。一方,不飽和地中流の集中に関しては,不飽和透水係数の特性の解析が精力的に行われた。この関係では,その集中機構のモデル化が依然として進んでいない。地下水流動の解析も不十分であった。 波丘地林地斜面および本学愛知演習林内の林地斜面を対象とした斜面土層構造の研究はかなり前進した。斜面では,その土層厚分布を直接測定することなしに精度よく推定する方法の開発が,崩壊発生予測上きわめて重要である。これに向けて,土研式簡易貫入試験機による斜面の精査が広く行われた。現在,デ-タの整理中である。 ヒュ-レットパッカ-ド社300シリ-ズワ-クステ-ションのオペレ-ション技術をマスタ-するため,窪田順平が専門的講習を受けた。デ-タ整理は今後は格段に進むものと思われる。
|