研究課題/領域番号 |
01480156
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研究機関 | 香川医科大学 |
研究代表者 |
畠瀬 修 香川医科大学, 医学部, 教授 (50033220)
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研究分担者 |
徳田 雅明 香川医科大学, 医学部, 助手 (10163974)
板野 俊文 香川医科大学, 医学部, 助手 (60145042)
松井 秀樹 香川医科大学, 医学部, 助教授 (30157234)
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キーワード | 心房性利尿ペプチド / 灌流心 / 瞬間マルチ測光システム / ミトコンドリア / 初代培養心筋細胞 / 酸化還元反応 / 虚血心 |
研究概要 |
心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)は心筋の酸素消費量を減少させる作用があることが報告されており、その機作の解明を進めるために3種類の実験を行った。第一には、ラット灌流心を使用し瞬間マルチ測光システムにより心筋ミオグロビンやチトクロ-ム類の酸化還元スペクトルを継時的にモニタ-しながら、虚血心におけるANPの酸素消費抑制効果を検定した。その結果ANPは虚血による心筋のより還元状態への移行を有意に抑制し、従って虚血状態を解放した場合の正常状態への復帰が早かった。すなわちin vivoにてANPは心筋の酸素消費を抑制しその結果虚血状態においてもその障害の発生を抑制し得る可能性があることが示唆された。第二にその酸素消費の本体を探るために、細胞における酸素消費の大部分を占めている小器官ミトコンドリアを精製して、酸化的リン酸化能に伴う呼吸状態の変化に及ぼすANPの影響を調べた。その結果、ミトコンドリアそのものにANPを作用させた場合においては酸素消費抑制はほとんど見られないことが判明した。すなわちANPはミトコンドリア直接には作用せず、恐らくANPのレセプタ-が存在するとされる細胞膜を介して引き起こされる細胞内反応の結果ミトコンドリアの酸素消費が抑制されるものと推測された。第三に、虚血灌流心におけるリン化合物(ATP、ADP、AMP、クレアチンリン酸)の変化をNMRにて解析した。ANPを作用させるとその虚血型パタ-ンはよりゆっくり進行し、虚血状態解放による回復も早かった。以上よりANPは心筋の酸素消費を抑制するが、その機作の解明のためには単離ミトコンドリアでは不十分であり、少なくとも初代培養心筋細胞系を確立し、この系を用いての解析が必要であろうと結論された。
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