研究課題/領域番号 |
01480309
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研究機関 | 富山医科薬科大学 |
研究代表者 |
藤巻 雅夫 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (50018355)
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研究分担者 |
前田 正敏 富山医科薬科大学, 医学部, 教務職員 (30143861)
本田 昂 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (40019914)
笠木 徳三 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (30161003)
田沢 賢次 富山医科薬科大学, 医学部, 助教授 (80018887)
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キーワード | デキストラン複合磁性体 / Intracellular Hyperthermia / 500KHz帯誘導加温法 / 微小励起物質 / AH60C腫瘍細胞 / Meth-A腫瘍細胞 / VX2腫瘍細胞 |
研究概要 |
Intracellular Hyperthermia(細胞内加温法)は、温熱療法のより積極的な治療法のひとつで、癌細胞の貧食作用を利用し細胞内に磁場励起性のある微小物質を摂取させ、癌細胞内部よりの発熱を誘導する方法である。過去に用いられてきた微小励起物質は、ステンレス・酸化鉄・非鉄金属酸化物等であるが、いずれもコロイド安定性が悪く生体内で凝集し、分布も不均一で治療効果も不十分であった。今回新たに、生体親和性多糖DextranとUltrafine-Magnetiteとの超微粒子複合体であるDextran Magnetite(DDM)を作製し、他の微小励起物質と比較検討したDDMの粒子径は5-15nmで保磁力は30eである。周波数500KHz帯の誘導加温実験では加温効率が極めて高く、他の磁性体と比較しても良好な温度上昇が認められた。温度上昇率とDDMの分子量とは負の相関が、酸化鉄部分の平均粒子径・磁化率及び酸化鉄濃度とは正の相関が認められた。 また生体内でのコロイド安定性に優れ、低毒性でかつ代謝性も良好である。ラット腹水型腫瘍細胞AH60c及びマウス腹水型腫瘍細胞Meth-Aを用い、DDMを腹腔内に投与し周波数500KHz帯で加温後生存日数を比較したところ、対照群に比し、生存日数が延長した。DDMは腹腔内においても全く擬集せず、腹水中に均等に分布していた。AH60C細胞を採取し、経時的に観察すると、DDM投与24時間以後に腫瘍細胞内に摂取される像が認められた。また家兎のVX2腫瘍(皮下固形腫瘍)でも同様の実験をしたところ腫瘍の縮小・消失が認められた。このようにDDMは温熱療法剤として有用と考えられる。今後臨床応用を目指し、検討を加えて行く予定である。なおこれらの結果については、第5回DDS学会総会、第48回日本癌学会総会、第6回ハイパ-サ-ミア学会において報告した。
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