研究分担者 |
竹森 繁 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (30227061)
前田 正敏 富山医科薬科大学, 医学部, 教務職員 (30143861)
本田 昂 富山医科薬科大学, 医学部, 教授 (40019914)
笠木 徳三 富山医科薬科大学, 医学部, 助手 (30161003)
田沢 賢次 富山医科薬科大学, 医学部, 助教授 (80018887)
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研究概要 |
Intracellular Hyperthermia(細胞内加温法)は,温熱療法のより積極的な治療法の一つで,癌細胞の貪食作用を利用し細胞内に磁場励起性のある微小物質を摂取させ,癌細胞内部よりの発熱を誘導する方法である.過去に微小励起物質として用いてきたステンレス・酸化鉄・非鉄金・属酸化物などでは,コロイド安定性が悪く生体内で凝集し,治療効果も不十分であった.これらの欠点を改善すべく,生体親和性多糖Dextranと超微粒子酸化鉄の複合体であるDextran Magnetite(DM)を作製し,実験を試みた.前年度まで周波数500kHz帯の誘導加温装置における物理化学的特性について検討してきたが,過去の他の磁性体に比較しても良好な温度上昇が認められた.生体内においても,コロイド安定性に優れ,低毒性でかつ代謝性も良好である.ラット腹水型腫瘍細胞AH60c,マウス腹水型腫瘍細胞MethーA,細網肉腫細胞,ヒト食道癌由来培養細胞SGFー8ーa及びウサギ固形腫瘍細胞VXー2を用い,各種腫瘍細胞での貪食を検討したところ,いずれの細胞においても貪食を認めた.特に24時間以降によく貪食された.ラット腹水型腫瘍細胞AH60c・マウス腹水型腫瘍細胞MethーAを用いてDMを腹腔内に投与し,誘導加温後生存日数を比較検討したところ,対照群に比し2回加温群において生存日数が延長した.DMは動物の腹腔内でも全く凝集せず,腹水中に均等に分布していた.ウサギ固形腫瘍細胞VXー2を用いて皮下腫瘍を作製し,DMの腫瘍内投与による加温実験ではVXー2腫瘍の縮小・消失が認められた.特に2回加温群において10例中2例に腫瘍消失を,2例に腫瘍縮小を認めた.このようにDMは温熱療法剤として有用と考えられる.これらの結果については第6回DDS学会,第49回日本癌学会,第7回日本ハイパ-サ-ミア学会,第28回日本癌治療学会において報告した.今後さらに臨床応用すべく肝転移モデル,管腔臓器モデルを作製し,温熱療法による治療を試みている.
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