研究概要 |
IVFーET:平成2年度は299各に382回のIVFーETを行い,新たに3日目の胚移植を導入した.対患者および対移植周期の妊娠率はそれぞれ,31.8%(95/299),25.9%(99/382)で,前年度に比べてやや低下した.1日目移植(前核期移植)の妊娠率が13.9%(20/144)と大巾に低下したためであった。なお,2日目移植,3日目移植の妊娠率はそれぞれ,31.9%(61/191),38.3%(18/47)と比較的良好であった。主な不妊原因別妊娠率は,卵管性27.1%(55/203),子宮内膜症26.4%(29/110)卵管内精子輸送障害25.9%(7/27),原因不明19.0%(8/42)であった.年令別妊娠率では,年令の増加とともに低下する傾向には変りなく,40才以上では,わずか3.7%(1/27)の妊娠率であった。 Micromanipulation:IVFで受精しなかった卵子を患者の同意を得て実験に供した。精子はIVFに用いた天精子を使用した。串刺法と用いた透明帯開孔術では98.5%(192/195)の卵子が生存し,46.9%(90/192)が受精した.多精子受精は6.7%(6/90)で通常のIVFと変らなかった.囲卵腔内精子注入では,92.7%(102/110)の卵子が生存し,うち51.0%(52/102)が受精した,注入精子数は平均3.3(1〜10)で,多精子受精は34.6%(18/52)とかなり高率であった.運動精子を注入した場合と非運動精子を使用した場合とでは,受精率にとくに差は認められなかった.卵子内精子注入では,64個の卵子中54個(84.3%)が子存し,うち7個(13.0%)に2個の前核形成を認めた.しかし分割したのはわずか1個(1.9%)であった.これに対して,圧電駆動で精子を注入し,術後SμH ionophore A23187で5分間処理した群では,91.8%(67/73)の卵子が生存し,このうち22.4%(15/67)に2個の前核を認め,16.4%(11/67)は2〜4細胞期に分割した.
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