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1989 年度 実績報告書

局所免疫からみた歯周病の発病メカニズムの解明に関する基礎的研究

研究課題

研究課題/領域番号 01480430
研究機関大阪大学

研究代表者

浜田 茂幸  大阪大学, 歯学部, 教授 (60028777)

研究分担者 向井 徹  大阪大学, 歯学部, 助手 (50209970)
小川 知彦  大阪大学, 歯学部, 助手 (80160761)
高田 春比古  大阪大学, 歯学部, 講師 (30135743)
キーワード歯周病 / 局所免疫 / Bacteroides / 線毛タンパク / 菌体成分 / 抗体
研究概要

歯周病は慢性の局所型の炎症であり、炎症部位へは各種の免疫担当細胞が出現し、最終的には“B cell lesion"といわれる病像を呈する。歯周組織での免疫反応の成立は、歯周病の成立にきわめて重要な役割を果たしているに違いないが、そのメカニズムはこれまでのところほとんど手つかずの状態にある。本研究では、歯周病の重要な病原因子とみなされているB.gingivalisの線毛タンパクを抗原のマ-カ-として、歯周局所における免疫応答を解明することを企図した。
Bgの培養菌体から機械的に剥離した線毛含有画分をDEAE-Sepharose Fast Flowカラムで純化し、同線毛に対する特異抗体をウサギで得た。ウサギ抗体とBgの12株よりえた線毛との免疫学的反応性を調べたところ抗381株線毛抗体はウサギ抗体と明確な反応を示し、いずれの菌株にも共通の抗原決定基が存在することが明かにされた。この結果からBgの線毛タンパクはこの菌種に特異的な抗原とみなすことができる。実際に、抗線毛抗体は他の口腔バクテロイデスの菌種とは交叉反応を生じないことも確認した。
歯周炎患者の手術的に摘出した病的歯肉はディスパ-ゼという酵素により結合織が分解され、同部にいるリンパ系細胞を単個細胞懸濁浮遊液として得ることができる。これらの細胞は多くB系のそれであり、ヒストパ-クを用いて分離した。各細胞中で抗体グロブリン産生能を有する細胞の比率は炎症の悪化と共に増加した。中でもIgG産生細胞の比率が高かった。これらの細胞中で、Bg線毛タンパクに特異的な抗体を出すものは正常歯肉中にはほとんど認められないのに対し、歯周炎の進行した病型の歯肉からは多数の抗線毛抗体産生細胞が検出された。これらの事実は、局所における免疫応答が病状の悪化と強い関連を有することを示すものであり、さらに詳細な検討を今後行う予定にしている。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] Ogawa,T.: "Bacteroides-specific IgG and IgA subclass antibody-secreting cells isolated fron chronically inflamed gingival tissues" Clin.Exp.Immunol.76. 103-110 (1989)

  • [文献書誌] Ogawa,T.: "Analysis of human IgG and IgA subclass antibody-secreting cells from localized chronic inflammatory tissue" J.Immunol.142. 1150-1158 (1989)

  • [文献書誌] Ogawa,T.: "Mucosal and systemic immune responses in BALB/c mice to Bacteroides gingivalis fimbriae administered orally" Infect.Immun.57. 3466-3471 (1989)

  • [文献書誌] Hamada,S.: "Lipopolysaccharides of oral anaerobes associated with chronic inflammation:chemical and immunomodulating properties." Internat.Rev.Immunol.5. (1990)

  • [文献書誌] 浜田茂幸: "歯周病は感染症か?" 日本歯科評論. 568. 67-75 (1990)

  • [文献書誌] 浜田茂幸: "口腔内の嫌気性グラム陰性桿菌" 化学療法の領域. 6. 91-104 (1990)

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公開日: 1993-03-26   更新日: 2016-04-21  

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