配分額 *注記 |
6,700千円 (直接経費: 6,700千円)
1991年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
1990年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
1989年度: 4,200千円 (直接経費: 4,200千円)
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研究概要 |
歯周病の主要な原因菌の1つと考えられるPorphyromonas gingivalisの菌体より線毛タンパクを剥離し,ついでクロマトグラフィ-により精製した標品をプロ-ブとして,次のようなin vivo及びin vitro実験による成果を得た。 1)P.gingivalisの線毛抗原は本菌種に特異的な抗原性を有することがELISA法や ^<125>I結合抗線毛抗体の結合実験により明かにされた。 2)ヒト歯周炎組織より外科的に摘出した組織をDispase処理してえた単核細胞中には抗線毛抗体産生細胞が含有されていること,またその数は歯肉の炎症状態の増悪に比例して増加することが示された。 3)同抗体産生細胞の分泌する免疫グロブリンクラスの分布はIgG》IgA>IgMの順であった。また中等度の炎症歯肉ではIgG1及びIgA1が多く,重症化するとIgG4やIgG3,あるいはIgA2の増加することが明かにされた。 4)P.gingivalis LPSに対する特異抗体産生細胞は線毛に対するそれに比してはるかに少いものであった。 5)また炎症歯肉由来の単核球細胞の培養上清中には明確なILー5,ILー6,TGFーβを認めた。 6)一方,歯周炎患者の末梢血単核球画方には抗線毛抗体産生細胞はほとんど認められなかった。 7)マウスル精製線毛をアジュバント,リポソ-ムと共に抗口投与すると抗線毛特異抗体産生細胞(特にIgAクラスのそれが)が腸粒膜固有層や腸営膜リンパ節で歓察された。しかしこの場合でも唾液中にはIgAのみならずIgG特異抗体も出現した。 以上の結果は,歯周炎の発症にさいして局所での免疫応答の重要性を如実に示すものといえる。
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