研究課題/領域番号 |
01480491
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研究機関 | 富山医科薬科大学 |
研究代表者 |
小橋 恭一 富山医科薬科大学, 薬学部, 教授 (80019108)
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研究分担者 |
竹部 幸子 富山医科薬科大学, 薬学部, 助手 (20135031)
赤尾 光昭 富山医科薬科大学, 薬学部, 講師 (20069058)
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キーワード | 硫酸転移酵素 / チロシン含有ペプチド / ポリフェノ-ル / 硫酸抱合 |
研究概要 |
ヒト腸内菌Eubacterium Aー44より分離精製した新しい型の硫酸転移酵素を用いて、昨年度にひきつづき次の研究結果を得た。 1.本酵素反応の動力学的研究から、硫酸基転移を受けた生成物は硫酸供与体に対して競合的、受容体に対しては非競合的阻害を示した。一方硫酸基転移させた生成物は硫酸受容体に対して競合的、供与体に対して非競合的阻害を示した。したがって本硫酸転移反応はピンポンーバイバイ機構に従って進行することを証明した。 2.ヒルジンペプチド中のC末チロシンを本酵素反応により硫酸化を試みたが、その近傍のグルタミン酸残基により阻害されることが判明した。このため遺伝子組換え手技によりグルタミン酸を中性アミノ酸におきかえたところ、よく硫酸化された。硫酸化ペプチドの抗トロンビン活性の力価は、非硫酸化体と比べて約20倍に増加した。 3.本酵素反応による水に難溶性硬たん白の硫酸化を試みた。絹フィブロインはプロトマ-あたり約10個のチロシン残基を含むが、酵素的硫酸化を行なうと4〜5個のチロシン残基が硫酸化され、水に対する溶解度は4倍に増大した。本法は水不溶性の繊維性たん白を酵素的に水に可溶性とする方法として有用である。 4.茶葉中に含まれるポリフェノ-ルの代表であるタンニン類に対する酵素的硫酸化を行ない、硫酸受容体活性を比較した。その結果、カルボキシル基が遊離されている没食子酸、エラグ酸やクロロゲン酸などは硫酸化され難く、またタンニンポリマ-はモノマ-より硫酸化され難いこと、一方カテキンの異性体の中では(+)-カテキンが最も受容体活性が高く、その4′-および5位のみが硫酸化され、3-、7-および3′ー位は硫酸化を受けないことが明らかとなった。
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